テーマ:ニュース(100158)
カテゴリ:仕事を離れてふと思う
家庭裁判所の少年事件では,原則として14歳以上20歳未満の少年について審理される。家庭裁判所の少年事件について,大人(「刑事処分相当」として逆送された少年を含む)の刑事裁判と対比しながら論じてみる。
刑事裁判では,「構成要件該当性」「違法性」「有責性」がそれぞれあるかどうか審理される。法学部を卒業した人ならある程度わかるかもしれないが,普通の人はちんぷんかんぷんであろう。 ひらたく言えば次の3点が審理される。第1に,刑罰法規に触れる行為をしたかどうか。第2に,その行為が正当防衛のような法律上許される行為ではないのかどうか。第3に,その行為を犯す際に普通の思慮分別があったかどうか。 刑罰法規に触れる行為をしていなければ,いくら反社会的な人間でも刑事裁判にかけられることはない(これを「罪刑法定主義」という)。また,いくら刑罰法規に触れる行為であっても,正当防衛のような法律上許される行為ならば「違法性なし」として処罰されないし,精神的にわけがわからなくなって犯した犯罪も「責任能力なし」として処罰されない。 家庭裁判所の少年事件では,少年に「非行事実があるかどうか」が審理される。非常に漠然としている。刑罰法規に触れる行為をしている少年はもちろん,犯罪を犯しそうな危ない少年(ぐ犯少年)も「非行事実あり」とされる。そこでは,違法性の有無や責任能力の有無は原則としてほとんど考えない。 それがあるとして次に審理されるのが,「要保護性」があるかどうかである。その少年の現在の性格・環境からして、そのまま放置すれば将来再び非行にはしる危険性があるかどうか,といったものである。 この「要保護性」があるかどうかが審理される点が,刑事事件と最も異なっている点である。少年の性格・環境を調査し,なぜその少年が非行にはしったかをつきとめ,良い環境のもとで少年をたたきなおそうとしているからである。 ここで大活躍するのが,皆さんもドラマ等でよくご存じの,家庭裁判所調査官である。それこそ,少年の生まれ育った家庭環境から学校の環境等,非常に緻密に調査した上で,心理学・社会学的検討を加えた報告書が作成される。まことに頭の下がる仕事であると感服させられる。 明日は,少年に対する処分(刑事裁判では刑罰に該たる)について書いた上で,少年犯罪についてまとめてみたい。 ←最後にここをクリックして下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 22, 2005 11:48:30 PM
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