dddoのブログ

2007/03/20(火)05:48

info/情報)臨界事故

北陸電力の志賀原子力発電所(原発) http://ja.wikipedia.org/wiki/志賀原子力発電所 の臨界事故(1999年6月18日発生、2007年6月15日発覚)。 ニュースなどでは具体的な状況には触れない事が多いように感じたので、ごく簡単に解説してみます。原子力って魔法みたいなイメージかもしれませんが、しくみそのものは、わりと簡単。 原子力発電所のしくみ: ウランなど核分裂しやすいモノを燃料にしてお湯を沸かし、その水蒸気で風車を回して発電する。 「燃料にして」とは: 1:核分裂しやすいモノに中性子を当てると核分裂する。 2:核分裂すると中性子などの放射線と熱が発生。 3:発生した中性子が周囲にある核分裂しやすいモノに当たる => 1にもどる というコトで無限ループ(連鎖反応)。 燃料に使うために、3が継続して確実に起こる様に、核分裂しやすいモノの濃度を高くする(濃縮)。 つまり、ウランなど核分裂しやすいモノが... ・ある濃度以下=当たらない中性子が多い=連鎖的には反応しない=火がついていない停止状態 ・ある濃度以上=当たる中性子が多い=連鎖的に反応する=燃料として発熱(+やっかいな副産物) ...で、その境目が臨界。 現在の原子炉では、濃度をコロコロ変えるのは実用的でないので、 中性子を吸収するモノでできた棒(=制御棒)を出し入れして 制御棒が入っている=吸収される中性子が多い(=当たらない中性子が多い)=反応停止 制御棒が出ている=吸収される中性子が少ない(=当たる中性子が多い)=発熱 という具合に、中性子の量の方をコントロールする。 で、話を戻して ・「熱や副産物を安全に管理できる状態」で臨界を超えさせるのが「原子力発電」で、 ・それ以外の状態[点検のためにフタを開けている、燃料の加工中である、など]で臨界を超えてしまうのが「臨界事故」。 志賀原発では:点検/整備のため、 すべての制御棒を入れてフタを開けている途中、 制御棒が3本抜けて、臨界を超えた状態になり(=事故)、 その様な事故の時に働くべき安全装置も働かず 「危険を承知で」抜けた制御棒を手動で入れなおして、15分後に臨界終了、被害なし。 ...簡単...です...よね?(^^; の事故で重要なのは:こ3本だったのはたまたま、ということで。 ひょっとして...抜けたのが2本だったら臨界にならなかったかもしれませんが、 5本だったら「危険を承知で」操作した人が実際に危険な目にあったかもしれず、 10本だったら第二のチェルノブイリになっていたかも。 記憶に新しい、2007年3月13日高知空港でのボンバルディア DHC-8-Q400の胴体着陸、で例えると: ・3本抜けた=前輪が油圧(正規の手段)で出ない ・安全装置も働かない=前輪が手動(緊急手段)でも出ない。タッチ・アンド・ゴーや急旋回でも出ない。 ・手動で制御棒を入れ15分後に臨界終了、具体的な被害は無し=天候などのコンディションも良く、パイロットも理想的な操縦を行い、怪我人無し。 被害が無かったから隠蔽する? 事故のきちんとした調査も対策もしない? ほかでも起きるかもしれないのに? もっと悪条件が重なる(悪天候とか主脚も出ないとか)かもしれないのに? (よその原発では、たまたま、運良く、臨界にならなかったから報告しない?) 事故当時(1999年6月18日)コレが公表されて報道されて、「臨界事故」について、この記事程度の簡単な解説番組/記事があれば、 http://ja.wikipedia.org/wiki/東海村JCO臨界事故 核燃料の加工中に起きた1999年9月30日の東海村JCO臨界事故(2人が死亡)は発生しなかった...かも(=この隠蔽は広い意味で業務上過失致死、と言える..かも)。 安全を維持するために必要なのは「原因の解明と周知」で。 隠蔽、感情的な非難、どちらも「原因の解明と周知」の妨げになります...よね? ------------------ 関連ブログ記事: 遊び学ブログ:志賀原発臨界事故、その2、その3 (問題点が的確に) 愚者の楽園II:志賀原発の臨界事故 まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記:定期検査中に起こった臨界事故を国及び自治体に報告していなかった・・・ Gensuikin:信じ難い臨界事故隠し─北陸電力・志賀原発 (写真あり) (2007.03.20初稿)

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