おどっちゃのここだけの話

2007/12/09(日)19:58

土地を選ぶ時に参考にしてほしいお話

日本は地震国。誰しもが『地震に強い家』を建てたいと望んでいらっしゃる事と思います ついつい『建物の耐震性』に目が行ってしまいますが、ちょっと待ってください 『地震に強い家』を建てたいなら、まずは建てようとする『土地』の特性を知る事が先決です 既に土地を所有されている方も、これから土地を選定し購入しようとしている方にも、参考になるお話をしたいと思います ■地形と地盤の関係 まずは、その地形によるそれぞれの注意点を羅列してみたいと思います。 1.傾斜地の造成地……盛土部に注意 2.旧河川地の造成地…液状化や不同沈下に注意 3.旧沼地の造成地……不同沈下に注意 4.旧田園地の造成地…不同沈下に注意 5.三角州の造成地……液状化に注意 6.谷地の造成地………不同沈下に注意 7.丘陵地………………地盤安定 8.自然堤防地…………地盤安定 でも、なかなか昔の地形ってわかりませんよね そんな時に、昔の地形を紐解くヒントがあるんです 昔の人は『地名』にその土地の特徴を表現していたものです。ですから、その『地名』で軟弱地盤を見分ける事が出来るんですよ また、昔から人の住んでいた所は自然災害にも強く、街道筋の中でも宿場町のあった所は安全であったとされています。 また、昔話や言い伝え、農作業の歌にも地形の特徴が表現されていたりもしました。また、地形の特徴ばかりでなく、気候の特徴が景観に現れている事もあるんですよ ところで『地名の語源』ってご存知ですか? 今、お住まいの地名が昔からのものでしょうか?そうでなければ、昔の地名を調べて見て下さい。地名が大切な事を教えてくれますよ 【田のつく地名】…旧田地 仁田、沼田、野田、宇田、部田、牟田、江田、新田など 【谷のつく地名】…山間の低湿地 谷地、谷津、谷戸など 【和のつく地名】…川谷や海岸の湾曲した土地 和田、浦和など 【低湿地に多い地名】 不毛、五味、阿久津、悪田、泥遣、土呂、浮田、赤田、湫、淀、沼など 【元新田干拓地に多い地名】 沖、浦、浜、塩、別所、小森など 【砂州に多い地名】 須加、菅、州など 【水辺の植物の名のつく地名】 蓮、蒲、葦、芦など 【水辺の動物の名のつく地名】 鷲、鶴、亀、鵜など 【水辺の構造物に関わる地名】 橋、船、堀、堤など これらの地名は、軟弱地盤に多く見られる地名です 開発が進み、昔の地形がまったくわからなくなる様な造成がなされた所でも、昔の地名である程度、軟弱地盤であるか否かの判断は出来るかと思います。 ■問題のある地盤について 【軟弱地盤】 地層が泥土・腐植土であったり、沼や緩い砂などからなる海岸を埋め立てた土地を、一般に軟弱地盤と呼んでいます。 その他に、三角州や河川沿いなどの低地や谷底にあたる様な低い土地も同じです。 基本的に柔らかい土が堆積していますので、家を建てると不同沈下が生じたり、地震時には大きく揺れる傾向があります。 【埋立地】 沼、水田、湿地、谷、海岸などに土砂を埋めた土地。 地震の時に揺れやすいだけでなく、地面が大きく陥没・地割れ・沈下などにより、家が傾いたり、基礎が壊れる恐れがあります。 【盛土地盤】 盛土の重量は1.6t/m3もあります。軟弱な地盤の上に盛土をすると、その重さを受けた軟弱層は、水を絞り出すようにして徐々に沈下をします。軟弱層が厚い場合には不同沈下を起こします。 【山地・丘陵地の造成地】 山地や丘陵地などを盛土や切土で造成した敷地は、盛土部分が元の地形傾斜面に沿って安定するまで変形しようとします。 家の基礎が不同沈下で壊れる恐れがあります。擁壁などは、水抜き穴を開けるなど、その背後に流れ込む地下水の処理を行う事が必要です。設けないと、地下水位の上下により地盤沈下を繰り返したり、擁壁が水圧で壊れたりします。 丘陵地の造成地では、地山を切土した土を谷側に盛土して平らにするので、元の地山と盛土の境目で不同沈下を起こしやすくなります。 【崖・急斜面】 崖や急斜面に近接した場所。 集中豪雨や地震などによって、土砂崩れや擁壁の倒壊の恐れがあります。家の基礎部分の地盤が崩れたり、土砂崩れ等で家が押し潰される危険があります。 【谷底低地の盛土や造成地】 丘陵や大地を下がった先に谷があったりします。一般には谷底には腐植土のような軟弱な地層が堆積していますので、その上に盛土した場合には、元の軟弱層が圧密沈下を起こします。 この上に家を建てると、谷の中心線に向かって沈下がより大きくなる不同沈下を起こします。 この6つの地形・地盤に家を建てる場合には、適切な補強工事が必要です 支持層(支持地盤)まで杭を打ったり、地盤改良をしたり、擁壁を設けたりする必要があります ■建物の基礎の役割と種類 基礎には2つの役割があります。 1.不同沈下に効果を発揮する底板部分…………広くなるほど効果は大きい 2.地震時の地盤の変動に抵抗する基礎梁部分…高く鉄筋が多いほど効果は大きい 基礎が不適切ですと、地盤の不同沈下により基礎に亀裂が入ったり、壊れたりします。 その為に家が傾いたり、原因不明の雨漏りが生じたり、壁に亀裂が発生したりします。 主にどんな種類の基礎があるのかを次に紹介します。 【布基礎】 軟弱層が薄く敷地の一部が盛土などで、家が軽い木造や軽量鉄骨造の場合、あるいは良い地盤で鉄筋コンクリート造の場合に適用する基礎です。 【べた基礎】 軟弱層が厚い地盤沈下地帯や敷地の一部が盛土、液状化現象を生じやすい砂層などの場合に適用する。 べた基礎は木造・軽量鉄骨・鉄骨ユニット造など家屋全体の重量が基礎全面に平均してかかるので不同沈下しにくく、地震時に地盤が破壊されても家屋に被害が及びにくい。 ただし、べた基礎は地面に接している面積が広いので、荷重は広く深くまで伝わるので、軟弱層が厚い時は、沈下がかえって大きくなる事もあるので注意が必要です。 【杭基礎】 厚い盛土・傾斜地の盛土・地盤沈下地帯・液状化しやすい地盤などで、地下10m程度で支持地盤がある場合に適する基礎です。 木造から鉄筋コンクリート造まで、建物の重さによって杭の材質や径が異なります。 支持地盤が更に深い場合や地層が複雑な場合は、詳細な検討と工法の検討が必要です。 ちょっと専門的なお話になってしまいましたが、建物を建てる際にはこの地盤と基礎の関係は不可欠なんです もし、建てようと考えている土地が軟弱地盤であるならば、なんらかの補強工事が必要になりますし、その分の費用もきちんと検討しておかなければなりません。 土地を購入し、建物の設計も済み、資金繰りも目処が付いた段階で、『軟弱地盤の為、追加金額が発生します』と言われても困りますよね そうならない為にも、設計に入る前の地盤調査は不可欠ですし、万一の為に資金計画にも余裕を持たせておきたいものですね

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