1億Σ聖記 ●第一章● ◆第十四節◆ 超新星爆発=銀河人類系ドミノ・シフト
凡そ2000万年前反量子銀河系アンドロメダ星雲系で、超新星爆発の兆候と思われる爆発現象が遠く銀河ワームホール辺縁の領域から捉えられた。この観測から、超新星爆発を起こす天体を事前察知でき、超新星爆発がドミノ現象的に進化する過程が明らかにされた。この超新星の崩壊の引き金と考えられているガンマ線バーストが、Σ聖記年 1億2555年9月12日と16日に捉えられたのは、2つのX線フラッシュが観測された。これら2つのX線フラッシュに続き、同月26日にはX線フラッシュとガンマ線バーストのちょうど境界と言える放射線が捉えられた。これらが超新星爆発を予告するシグナルだ。 この銀河系は今や確実に新世紀への活動期へ入っていた。既に数十億年の時を経て多くの銀河には、高度知的生命体である人類系が多く生存できる快適な環境が広がってきていた。数度にわたる銀河の崩壊と超新星の誕生を観測し、かつその都度新しい銀河への大移動を行ってきたのだ。だが、今回はこの銀河世界全体があと数十億年後にかつて経験していない及巨大な銀河ブラックホールへと飲み込まれて消えていく運命となってきたのだった。限られた時間の間に、ワームホールを使って時空空間航行を行う事で、別の量子銀河世界へドミノ・シフトを行う事が避けられない。しかも、銀河全体が移住するというとてつもない計画なのだ。しかも、急速なシフトは移り住む側の量子銀河系の時空秩序が歪んでしまう危険性がある。そのために、極めて綿密に設計された銀河シフト計画が組まれてきた。既に約2000万年の時間が掛けられて、漸く量子銀河系の一つである銀河太陽系が最もこれまでの量子銀河系に極めて類似した進化を遂げつつある銀河である事が判って来た。プローブとして探査細胞自動航行船からの波動計測からのDNA合成情報のテラ種の近似性解析結果が、納得のできる成果を報告しつつあった。そこに仕掛けたみづからの分身であるDNAクローン細胞生命体たちの進化が、実に見事に反量子銀河系の人類系と一致できたのだ。何万通りにも及ぶ改良DNAを探査船に載せて送り出してきた成果が結実してきていた。 ようやく反量子銀河系太陽系Σ星銀河帝国皇帝が、今世紀の末までにいよいよ大移動(ドミノ・シフト)法案の提出と可決を宣言する段階に入りつつあるのだった。