カテゴリ:1億Σ世紀 (銀河編)
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【一億Σ聖記】 ◆ 第二十四話 ◆ 惑星超移動イオンエンジン 反量子銀河太陽系の寿命があと数十億年あることは、ここ数世紀の惑星間移動を 低エネルギー消費というよりも、発エネルギー化に近い状態まで航行を 飛躍的に進歩させた太陽エネルギー加速イオンエンジンの貢献度は大きい。 過去21Σ世紀にもてはやされた「超伝導」推進方式は、浮遊体では上手く使えなかった。宇宙空間へ自在に飛行できる小型乗用飛行ロケットがイーゼス国の前進国家で開発され、一気に世界中に普及した。この結果各国の惑星間国家移住が拡大していった。それまでは宇宙ステーションと呼ぶ小型の宇宙空間それもテラ星の外縁軌道でしか制御できない代物で、実験を細々と続けている状態だった。産業的にも殆ど魅力はなかったが、太陽エネルギー加速イオンエンジンの普及はそうしたテラ星内経済圏だけに留まっていた活動を爆発的に増大させると同時に扱う金融商品サービスや保険商品も格段にバラエテイーが良くなり、全反量子銀河太陽系惑星経済圏の形成に重要な役割を果たしたと言える。特にエンジン部分の費用が格段に安くかつ高性能化したことで、宇宙航行は民間事業の領域で充分に効率的かつ経済的になったことが貢献した。 ***** 太陽系21世紀での現状は ~ 高効率の電気推進エンジン の実用化 *** MUSES-Cで使われる電気推進エンジンは、まず、マイクロ波によって、推進剤のキセノンをイオンに電離します。次に生成したイオンを強力な電場で加速、高速で噴射させ、その反動を利用して推進力を得ます。 電気推進エンジンは、従来の(燃料と酸化剤を燃焼させるような)化学推進エンジンと比べて、燃料の効率が良いことが知られています。その一方で、その推進力は極めて小さいため、化学推進エンジンと同じだけの軌道変更を行うためには、非常に長い時間、連続して作動させなければなりません。しかし、それでも、燃料の効率が高いことは非常に大きな魅力であり、将来の惑星探査などで、広く利用されることが期待されています。 ![]() ![]() -------------------------------------------------------------------------------- ![]() ![]() -------------------------------------------------------------------------------- マイクロ波を利用した電気推進機関の概念図。宇宙科学研究所では、このエンジンの耐久性能を確認するため、18,000時間を超える寿命試験を実施し、その高耐久性能を実証しました。 ![]() ◆イオンエンジンシステムの概要 宇宙科学研究所(ISAS)が開発された「はやぶさ」MUSES-C イオンエンジンシステムは、推力8mN級(口径10cm)のイオンスラスタ4台とイオン加速用高電圧電源、プラズマ生成用電源、スラスタ制御器、推力軸調整機構(二軸ジンバル)及び推進剤供給装置により構成され、最大3台までの複数同時運転による5~24mNの広範な推力スロットリング能力と、各軸±5degの推力方向調整が可能な特徴を持っています。 イオンエンジンシステムの主要構成品目を下に示す。 イオンエンジンシステムの取り纏め、及びイオンスラスタをはじめとする主要コンポーネント ![]() 品名 搭載数量 当社開発 0 イオンエンジンシステム 1s ○ 1 イオンスラスタ 4p ○ 2 二軸ジンバル 1p 3 高電圧電源 3p ○ 4 プラズマ生成用電源(TWTA) 4p 5 スラスタ制御器 1p ○ 6 推進剤供給装置(Xeタンク, バルブ) 1s ![]() MUSES-C搭載イオンエンジン外観 ◆イオンスラスタ a) 方式 ・ イオン生成 ECR(Electron Cyclotron Resonance)による無電極放電 ・ イオン加速 C-Cコンポジット製 3枚グリッド ・ ビーム直径 φ10cm b) 単体性能 ・ 単体推力 4.6 ~ 8.1 mN ・ 比推力 3400 sec ・ 動作寿命 20000 時間 ![]() イオンスラスタ外観(スラスタヘッド 及び 中和器) ########################################################################## 【宇宙航行技術】 恒星船(こうせいせん) 恒星間を航行する能力を有する宇宙船の総称で、恒星間宇宙船(こうせいかんうちゅうせん)ともいう。 方法 恒星船には大きく分けて有人・無人という分類と、光速を越えるような物とそれよりも遅い物という分類がある。太陽系を抜け出るために必要な第三宇宙速度に達しない物は除外するとしても、「お隣の恒星が4.3光年先」という状況では、光速を数倍上回る程度の速度を出せるかそうでないかによって、航法上というよりも運用上の考え方が全く違って来て、その機能や形状、更には容積などの必須要件が異なる。 低速有人恒星船 限られた寿命を持つ人類を、それも重力が無ければ生理機能に悪影響を受けるという脆弱性をそのままに、低速で航行する有人恒星船に乗せて宇宙を旅行させる場合に、もっとも大きなファクターは時間である。 隣星のケンタウルス座アルファ星まで、第三宇宙速度なら772世紀少々かかる計算で、容易に行き交うことは難しい。光速に限り無く近い亜光速航行ですら数年の歳月を要する事を考えれば、その間はクルーが快適に生活出来る方法を考えなければ、恒星間航行は不可能だといえる。 世代交代 凍結なら個体単位で「いつかは他の恒星系へ」となる訳だが、これとは別のアプローチとして、種族として低速恒星船に乗り込み、世代交代を繰り返しながら他の恒星系に到達する方法がある。この方法は世代宇宙船とも呼ばれる。 これは航行期間にもよるが、到達時に目的を果たせるクルーが存在している必要性から、近親交配に陥らずに種族を維持できるのに十分な人数や、それらを教育出来る機能、更にはそれらの人員が生活できるだけの食糧や水・酸素を生産・消費可能なリサイクルを続けるために、循環する生物的な環境が必須となる。また居住スペースは人体活動を維持できる十分な重力がある必要がある。これらの必然性から、遠心力で擬似的な重力を作るためにも、ちょっとした宇宙コロニー並の居住スペースが必要になる。 これは非常に巨大な居住スペースを持つ宇宙船を必要とするため、それを慣性に抗って駆動する強力なエンジンも必要となり、更にはそのエンジンを働かせるための十分な動力源を必要とする。こうなると、大量の燃料を抱えて飛ぶために更に巨大な推力を必要とし、ひたすら巨大化の一途を辿った化学ロケットのようなエンジンでは、もはや進む事すら不可能に近くなるため、原子力ロケットや核融合ロケット・電気ロケットなどの、例え小さい反発力でも、継続的に高速の推進剤を噴出する事で、前進が可能なロケットエンジンの登場が不可欠になる。 もし人工重力を船内に発生させる「人工重力場発生装置」なるものが発明されたなら、居住スペースはもっとコンパクトに出来るだろうが、そのような装置が作れるのであれば、むしろそれは「上も下も無い宇宙空間で、無限に一定方向に落下し続ける」(言い替えるなら「亜光速にまで加速する」)事が可能であろうから、それはむしろ推進エンジンに利用されると思われる。 高速(光速)恒星船 光速ないしは超光速で航行する能力のある恒星船は、目的地への到着時間をそれなりに短縮できる。しかし複数の恒星系を訪れる様に成るには、それこそ光速を超えた速度が必要に成るだろう。 恒星間ラムジェット 宇宙空間には一立方m当たり数個程度の水素分子があり、これ以外にも様々な塵や破片が存在するなど、完全な真空では無いため、宇宙船は絶えずそれらの衝突に晒される。地球の衛星軌道に捕まるような第一宇宙速度ですら、秒速8kmで、この速度の微細な物体が衝突しただけで致命的な破壊をもたらす運動エネルギーを持つのに、これが光速の何分の一かの速度で航行していたとすれば、宇宙船はひっきりなしに水爆の直撃を食らうような状況に晒される危険性が高い。そのため、何らかの方法で斥力(せきりょく:しりぞける力)を発生させて衝突を回避する方法が必要になる。 しかし、これを逆手にとり、強力な磁場によってこうした星間物質をかき集めて燃料にするバサード・ラムジェット(恒星間ラムジェット)という物も提唱されている。理論上、ラムジェットを作動させられる速度までの加速に必要な燃料さえあれば、後はいくらでも加速できるという事になる。 動力源としての可能性を持つ反物質 現在、恒星間航行を可能にする宇宙船の動力となる高エネルギー源として、もっとも有望視されているのは反物質である。加速器によって生成した反粒子を十分に冷却した状態で反応させる事により、安定した反物質(反水素)が生成できる事は確認されており、これを安全に保存できるなら、将来的なエネルギー源(正しくはエネルギーを保有する方法)として利用できる可能性がある。 ダイソン球と呼ばれる、恒星を巨大な人工構造物で覆って、恒星から発生するエネルギーを利用する超巨大な構造物のアイデアがあるが、これを利用して恒星の発するエネルギーをすべて反物質製造に費やせるなら、数年~数十年程度で恒星間航行に必要な動力が得られると云う計算がある。そこまで大掛かりな装置で無くとも、公転軌道上に直径750m程の大きな粒子加速器付きの人工惑星(形状としては、太陽に向いた巨大アサガオのような物)を200個設置すれば、約20年程で快適(?)な恒星間航行が可能になる反物質20トンが蓄えられるという。 現在の技術水準では、直径750mの人工惑星200個を太陽の公転軌道に乗せることも非常に難しいかも知れないが、月面マスドライバーや惑星軌道上の工場衛星が現実的な未来の話として上がっている以上、途方もない夢物語と云う水準の話ではない。100年後・200年後には、初期の恒星船が就航しているのかも知れない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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