『でら☆マネー』 お値打ち投資でアーリー・リタイアをめざせ

2005/01/02(日)22:09

「最高経営責任者バフェット」

バフェット・グレアム(11)

 「最高経営責任者バフェット」を読みました。以前の日記 「若返りバフェットの投資」でも取り上げました。バフェットに直接インタビューしているわけではありませんが、バークシャー・ハサウェイが買収して傘下となった子会社CEOへのインタビューを通じて、バフェットの投資法とその人柄を浮かび上がらせる好著です。各CEOへのインタビューが豊富な資料で裏打ちされています。翻訳もこなれていて、理解しにくい部分には適切な訳注が入っています。  バークシャー傘下の企業にはそれぞれ個別の物語があり、その生い立ちから価値ある企業へと成長するまでのストーリーを読むだけでも面白いし、良質な経営指南書ともいえます。また、バフェットから次のバークシャーのCEOへのバトンタッチがどのように行われるのか、次期CEO候補者の予想もあり興味をそそられます。この書を読む限り、遠くない将来に行われるかもしれないCEO交代があってもバークシャーの企業文化や内在価値に大きな変化はなさそうです。バフェットが引退した時にはバークシャーの株価は大きく変化するかもしれないので、その時が投資のチャンスかもしれません。  もっとも、バフェットのCEO引退時期はバフェットの死後5年後だそうで、その間は降霊術を使ってバフェットが指揮をとるのだそうです(笑)。  バークシャーがまるごと買収している企業は、どの企業もフランチャイズ(外堀)で守られた優良企業のようです。買収金額が明らかになっていない企業も多いですが、売り手も買い手も損をしないような適正価格で買収が行われているようです。バークシャーによる買収の場合、新たに経営陣を送り込むようなことはなく買収前の経営陣が引き続きフランチャイズを強化する方向で経営を任されます。バークシャー本社にはバフェットを含めて10人前後しかスタッフがいないので、新たにCEOを送り込む余裕はないし、優秀な経営陣も含めて買収を行っているようです。  それにしても、バフェットのCEOとしての報酬はたった10万ドルらしいです。非常にお値打ちですね。  バフェットはハイテクには投資しないことで知られていますが、買収先のフライト・セーフティ・インターナショナルは1台1,900万ドルもするフライトシミュレーターを用いてパイロットの訓練を行う会社です。私には十分ハイテク企業に思えます。このことから考えるとバフェットがハイテク企業に投資しないのは、テクノロジーを理解できないのではなく、その競争優位性が持続するのかどうかに疑念を抱いているのではないかという感想を持ちました。コンピューター企業やソフトウェア企業では他の企業がより高度で安価なテクノロジーを開発してしまえば、その競争優位性が急激に弱まる可能性があるからです。

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