2005/10/24(月)21:23
絵本「ちいさなヒッポ」 作:マーシャ=ブラウン 訳:うちだりさこ
カバの子供ヒッポは、生まれたときからお母さんのそばを離れたことがありません。
いつもお母さんに守られて穏やかに過ごしていました。
そんなヒッポもついに「カバの言葉」を覚えるときがきました。
「グッグッ グアオ!」
これがカバのとても大事な言葉です。
何度も何度も練習します。
ある日ヒッポはお母さんから離れて一人で遊びに出かけます。
すると波音ひとつたてずにやってきたワニがヒッポの目の前にいるではありませんか!
あまりの恐ろしさにヒッポは声を出すことができません。
その間にヒッポはワニにしっぽをかみつかれて深い水の中にひっぱられます。
そこでなんとか「グッグッ グアオ!たすけて」
と叫ぶことができました。叫び声を聞いてかけつけたおかあさんはワニをやっつけてくれました。
帰り道、お母さんはヒッポに言います。
「忘れちゃだめ! 小さなカバは どんなときでも グアオ!って叫ぶのよ」
「グアオ!おかあさん。」
(おしまい)
カバの親子のお話なのですが、とにかく絵が力強くて美しいです。
絵本には珍しい版画手法です。
カバという大きな動物の迫力さが、版画手法により限りなく表現されています。
それでいて、どう見てもかわいいとは思えないはずのカバを、この絵本ではなかなかかわいらしく見えるのは、マーシャ=ブラウンの巧みさでしょう。
この絵本はお話もさることながら、芸術性に長けていると思います。
お薦めの1冊です。