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「…エルボー。…だからこう…後ろからエルボー」
仕事の帰り道。 道路脇に停めた原チャリにまたがったまま 兄ちゃんが誰かとケータイで話している横を通り越した。 確かに俺はその時、彼が「エルボー」と言ったように聞こえたのだった。 エルボーである。 脳みそにプロレスという引き出しを持つ者なら必ず検索できるはずの 打撃系のスタンダードワザ・ヒジ打ちのことだ。 (おっとぉ、しまったぁ。忘れ物をしてしまったぞい) 素通りもできたはずだろうに、聞こえちゃったモンはしょうがない。 えらくわざとらしい仕草で今来た道を戻りつつ すれ違いざまに兄ちゃんの話す続きに耳を傾けようとする俺。 「そう。ラリアットみたいに、あの、後ろから首にエルボーが」 どうやら彼は誰かに不意打ちを咬まされたらしい。 しかも、よりによって「後ろから首にエルボー」なのだという。 これは危険だ。 「そりゃフラフラ来ますってぇ!」 そらみたことか。 案の定、大変なダメージを負ったらしい。 当然だ。何しろ首にエルボーだ。 しかもそれは、ラリアット気味だったという。 こうなると詳細がしりたくて仕方がないのだが、 忘れ物のフリをして、今来た道をもう一度引き返す手は、二度も使えないだろう。 泣く泣くそれ以上の追求は諦めたのだが、 それにしても彼を襲ったのは誰で何の目的があってのことか。 知り合いが冗談の延長で及んだ行為だろうか。 それともマヂで暴漢に襲われたのか。 もしかして新手の振込め詐欺の真っ最中だったのかもしれない。 いつもの通勤途中の道で「エルボー」と言う非日常に触れる街・八丁堀。 かくも東京は恐ろしい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年02月07日 20時52分29秒
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