ビニ傘に心遣いあり

 いやぁ、昨日の台風には参った。朝、渋谷行きのバスを待っているときに、ひとつ傘をバラバラにされてしまった。でも、そんな突然の事態を救ってくれるのがコンビニで売っているビニール傘、通称『ビニ傘』である。これの登場によって「雨宿り」を強いられる機会は極端に減ったのではのではないだろうか。困った顔をしながら商店の軒下で雨宿りをしているマスオさんを、傘を差した波平さんが拾っていく姿が懐かしい。(こういうときマスオさんは、たいてい飲み屋に連れて行かれるケースが多い)
 ところで、この『ビニ傘』。デザインを比較したことはあるだろうか。どれも同じように見えても、実はコンビニごとに微妙に異なっているのだ。中でも私がこだわって使用しているのは、『LAWSON』のもの。『LAWSON』では、現在、他店よりもひとまわり大きな60cm長のもの(350円)と、ジャンプ傘になっている65cm長のもの(480円)の2種類を販売している。大柄な男性などにはちょっとつらい55cm長が主流のなか、肩を濡らさなくて済む、60~65cm長というだけでもかなりありがたい。また、60cm長のものは、乳白色でサラサラッとした素材感が特徴だ。あの、何度か使うとペタッとくっついて差すときに手こずってしまう透明のものはやっぱりスマートではなかった。
 品川にある『SONY』本社のエントランスにある傘立てには、常に乳白色の『ビニ傘』が整然と数百本並んでいて圧巻だ。しかも、それぞれにブルーで『SONY』のロゴ入りである。これは、来客者が打ち合わせ後、突然の雨に遭遇しても濡れて帰らないようにとの配慮なのである。たかが『ビニ傘』。されど「気兼ねの要らない一流の心遣い」。何とも粋な計らいである。


Binigasa


『ビニ傘』
ビニール傘のこと。近年、環境面への配慮から、素材は塩化ビニルからポリエチレン素材へ移行。
(「LAWSON」の「ビニ傘」を輸入している、日用雑貨品の卸「Paltac」(パルタック)が歩んだ100年の歴史が面白い)

『LAWSON』(ローソン)
1975年に1号店「桜塚店」(大阪府)をオープンして以来、現在では7631店舗。(2002年6月現在)
玄米おにぎりや、産地直送無農薬野菜などを扱った実験店舗「フレッシュローソン」を自由が丘をはじめ4店舗オープンしている。

『SONY』(ソニー)
お、本社の外観を紹介しているページがあったゾ!


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