乾燥芋事件の真実

「五十数年前の乾燥芋事件」の真実

幼馴染の彼は近所でも有名な資産家のお坊ちゃまでした・・

そしてデッパはと言うと、貧乏人の職人の息子、何時も
お腹を空かしていた・・

戦後の、どさくさ、成功した人も多い、でもほとんどは貧乏人
そんな彼の家に大相撲のテレビを見せてもらいに良く通った

大体テレビなんて超セレブの家にしか無かった時代です、彼の
家の縁側に大きな雑巾がひいてあり、それで足を拭いてテレビの
部屋に行く・・名前と繋がりを話すと誰でも上げてくれた!・

お金持ちの彼はテレビなんか見飽きてるらしく、一緒に相撲見た
記憶がない・・そして彼の優しいお母さんが、食べた事もない様な
お茶菓子を出してくれる、これも本当に美味しかった・・

昔はお金持ちでも貧乏でも、差別が無い様な気がした、だから堂々と
一人でテレビを見に行ける?・良い時代!でなく、良い人たちが周りに
居たと言うこと・・

お金持ちの息子と貧乏人の子供の決定的な違いは!・・・

髪の毛が長髪なのだ、曰ゆる「坊ちゃん刈り」なのだ!・貧乏人の
息子は絶対に長髪は許されないのだ?親が許してくれないし!・

自分でも認識していた、デッパがこの坊ちゃん刈りが許されたのは
高校一年である

そんな彼との付き合いは、小学生まで、中学からは、お坊ちゃま学校
に入学・・デッパたち貧乏グループは公立の中学と言う事に!・・

そして何十年後、自分達の娘と彼の子供達が同じ学校で同じクラスに
なった、でも女房達は、亭主同士が幼馴染と言うことを知らなかった?・

そして、ある日の父親参観日に偶然会って、ええ”あの時の00ちゃん
デッパ君・・・それから又新しい付き合いが始まった・・・

さて、前書きが長くなったが、そんな時代の貧しい小学生の悪餓鬼どもは

大体何時も腹を空かしていた、服装はお下がり、万年着たきりすずめ!・
つぎはぎは当たり前、靴は学校通学以外履けない・大体下駄か木のサンダル
それで駆け回るから、何時も捻挫は耐えない・・

ある時、一人の餓鬼が「美味しい食べ物の倉庫があるらしい」と言う情報を
持ってきた・・(倉庫からネコが出てきて白い何かを食べていた)そんな噂?

食べ物と聞いたデッパたち、早速仲間を集めて作戦会議?・ネコが食べるより
デッパ達が食べた方が良いだろう!・・変な解釈?・・

そこは、(宝焼酎)の王子工場の川岸の倉庫にあるらしい?そこで市場調査に
出かけた仲間達・なにやら芋の匂いがする倉庫を発見?・

そして塀の針金がずれて、木の壁がゆるんでいる箇所を発見!多分ここが
その宝の入り口に間違いないと確信・・

そして、あくる日の朝早くに神社に集合、悪餓鬼6人ぐらいで、その宝の入り口
を目指した・・

朝も7時前なので従業員も警備人もまだ居ないと思い、探検気分でやって来た

まず塀の針金を少し上に上げて、はいずって、ちび君が入り、粗末な壁板をずらし
手を入れた・・「何か俵のようなものが有るよ」とちび君言った・・

皆で「その中にあるんだよ」と期待に胸が高鳴る!何かごそごそ、ちび君がやっていた
そして白い粉をふいた乾燥芋を探し当てた、それを二掴みほどいただき、神社で
食べた、朝ごはん前でも有り、物凄く美味しかった・・

今考えると、立派なちびっ子窃盗団であるが?その当時は飢えていたので余り罪悪感
は無かった様な気がする、それより「皆で協力して宝物を掘り当てた」そんな冒険心
の方が強かった気がする・・

それでも、悪い事をしてる!と言う罪の意識は多少有ったような気もする・そして
この宝物を戴くのは、土曜日だけ、そして誰にも場所は教えない、そして一番肝心な
こと、仲良くみんなで分ける・・こんなルールを作ったような気がする・・

・・そして何回目かの、お宝主食会で事件が起きた!・・

とにかく、お宝の乾燥芋を教室に持って行き、ストーブの上で焼いてクラスの仲間と
(ほとんど全員)分け合って食べた時の美味かったこと、焼く事で甘みが増すのだ!
そんな事も知恵として持っていた・・焼き芋の原理から・・・

そして何時もは掃除の前に窓を開けるのだが、その時は全員で盛り上がっていた!
そのとき急に担任の先生が入って来た??どうして??

もちろんお芋は少しずつ分けたので無かったが、焼き芋の匂いが部屋中に残っていた
デッパたちは気がつかないが?先生は外から来たので直ぐ判ったらしい・・

そして開口一番「この匂いはなんだ」とみんなに聞いた?これはまずい事になった?
でも犯人はデッパたち悪餓鬼である・「乾燥芋を焼いて食べました」とデッパが答え
ました・・

「そうか、その芋はどうしたのか?」と聞かれたので、「宝焼酎の倉庫前で拾いました」
と嘘を答えました・・大体、食糧難の時代芋が沢山落ちている訳が無い??

直ぐに見破られて、白状させられた「とにかく食べた者は全員前でなさい」と言われて
ゾロゾロ、ほとんどの生徒が前へもちろん女子も!・・

でも先生は「女子は良い」男子生徒だけで良い・そして窃盗犯の仲間は二発の拳固・・
それを喜んで食べた者は一発の拳固・・

その後、全員で反省会、デッパ達窃盗団は何処かに(みんなに食べさせたい、喜ぶ顔が見たい)と言う変な正義感を持っていたような気がする・・

でも先生に悪い事は悪い、友情は友情、そして(お坊ちゃんお嬢さんたちにも、
「自分達は食べないから知らないではいけない」そのような注意が有った

その一件以来最高に仲の良いクラスになった、もちろんそれ以来、宝の山には行かなく
なった、そんな思い出話も出た・・・

ところが、その後の後日談が有ったと言う事を、彼の父親から聞いたと事を
話してくれた


実はその事件の後に、先生が宝酒造の工場長の家に謝りに言ったらしい!・

工場長は知っていたこと、子供達が乾燥芋を取る事を警備員(倉庫の番人)に子供達が
とっても知らぬ振りをする事!ただし、大人が来たら注意をするように等々・・

そんな話が合ったらしい、そして工場長も貧しい子供達の事情も知っていたこと、そして
春になったら、工場長の子供達もこの小学校に転入してくること・そんな話も有ったらしい
そしてその息子さんを我々の担任の先生のクラスに入れることも・・


そんな新事実を50年ぶりに彼から聞いた・そして今も元気なあの先生に会いたくなった・・・


そして新学期が始まると、工場長の息子が入って来た、超セレブなくせに坊主頭、
スポーツ万能な秀才のくせに庶民的、まったくの良い奴・もちろんデッパも直ぐ友達に
なった・・

思い出話は次から次ぎへと続いた・・

セレブな彼が相撲の時なぜ組まないでツパリばかりしていたか?(彼のおばーちゃんに
「シラミを移され無いようにするのだよ」と言われてた事・・それで彼はツパリをした
そんな話も・・

急な雨の日セレブな子供達の母親、またはお手伝いさんが、傘と長靴を持って校舎の
右側に並ぶ・・

貧乏人のデッパ達はヤケクソで、その母親達をチラリと見て、裸足でずぶ濡れで帰る!

でも親を恨んだことは一度も無い、そして迎えの母と子を羨ましくも思はない・・
みんな自分の一分をわきまえていたような気がする・・

だからと言ってセレブな子を虐めたりはしない・ただ子供心にも「何時かはきっと
成功してみせる、金持ちになってやる?」そんな闘争心があった様な気もする・・

本当は差別”なんだろうが、今と違い、そんな事を誰も差別なんて思いもしなかった

彼が言うには、「デッパ達は貧乏を楽しんで生きていたみたい!羨ましいな」?・・

デッパ「おいおい”それは無いだろう??」・彼「金持ちには金持ちの苦労が有った」
「泥棒の恐怖、父親の女性問題、使用人とのトラブル」いろいろ有ったんだ?・・

なにか深刻な話も出た???・・

でも待てよ?それって昔の話だよね?・・ああ”そうか・・車の中は笑いの渦・・

本当にデッパ達は良い時代を生きて来たものだなーと、しみじみ思う、小さいながらも
夢があった、希望があった、何よりも助け合いもあった、そんな時代の話だった・・

そうそう、あの工場長の子供達3人ストレートで東大に合格して町ちの評判になった

そして今は普通の彼と奥さんと、又来年もゴルフに行こうねと約束をして分かれた、
楽しいゴルフ会であった!・・


長い日記有難う、ボケ防止のお付き合いも有難う!・・またね。







最終更新日 2007年10月31日 07時17分14秒


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