混ぜるなキケン!

2006/10/30(月)03:37

フッ…俺はボインちゃんが大好きでな。

ゲッターロボ(14)

 変態じゃありませんよ、ニヒリズムです。 前々回の引きに、ヨイドレパンダさんがリクエストしてくれたので、ハヤト特集です。 見出しは、ゲッターロボ第1話のセリフで、ハヤト=神隼人(じん・はやと)がゲッターロボに乗る理由として、口にしたものです。 まず、第1話を冒頭から再現しましょう。浅間山に近い「浅間学園(おそらく「高校」)」、そこで部活に打ち込む学生たち。サッカー部キャプテン・流竜馬(ながれ・りょうま)、柔道部主将・巴武蔵(ともえ・むさし)。そして帰宅部のハヤト。が、彼の身体能力はズバ抜けており、サッカーはおろか、ムサシ(巴武蔵)が大雪山で編み出した必殺技・大雪山おろしにも涼しいカオ(投げられて、プールの飛び込み台に着地する!)。これを見ていたコーチの早乙女達人(さおとめ・たつひと)も驚く・・・が、妹のミチルとリョウ(流竜馬)を連れ、早乙女研究所へ向かう。ゲッターロボのテストの為である。 ここでのポイントは、「ハヤトはツブシが利かない」事。リョウは爽やかで、サッカーマンガ(アニメ)の主人公でもイケる()。汗臭いが、ムサシを主人公にした柔道モノも不可能ではない。だが、自分から行動しないハヤトは、合体ロボ(群像劇)でしか活躍する場がないのである。そう言う意味では、「ハヤトこそ主人公」とも言える。 また、投げられた際に、胸にかけている十字架を落とし、それを早乙女ミチル(ヒロイン)に拾ってもらうのだが、「拾ってもらってお礼も言わない」ありさま。ミチルもあきれている。・・・が、実は、この十字架に母親の遺影が収められており(すごいギミックだ)、おそらく命より大事な物だと思われる(しかも、母親がミチルにソックリ)。 研究所では、達人と2人のパイロットが、白いゲッターロボで合体訓練を繰り返していた。ミチルはコマンドマシンでサポートしている。そこへ、メカザウルス(サイボーグ恐竜)が出現、白いゲッターは苦も無く破壊されてしまう。そして、ミチルの弟・元気(げんき)が言う、「お父さん、本当のゲッターロボを出してよ!」と。「本当のゲッターロボ」とは、武装の施された「戦闘用」の機体である。だが、早乙女博士は答える、「パイロットがいない」。ミチルは、一人、コマンドマシンでメカザウルスを翻弄する。それを見ていたリョウは「3人いれば良いんですね?」と言い残し、学園へ向かった――。 はい、ここでお分かりと思いますが、リョウの行動は「学徒出陣」ですね。彼は国やイデオロギーの為ではなく、「好きな女の子を守る」為に、戦闘用のマシンに乗る事を決意したのです。 単純、いや純真でミチルにホレているムサシは、即OK。だが、「クラスメイトで、寮でも同じ部屋」のハヤトはウンと言わない。リョウは、ムサシとサイドカーで、研究所へ向かう。そこへ現れるハヤト。「お前みたいな冷血漢でも、モナリザのミチルさんの為に戦うのかよ?」となじるムサシに、「フッ…俺はボインちゃんが大好きなんでな」と答えるハヤト。ともかく、これでパイロットは3人そろった(ムサシは「自転車にも乗れない」のだが)。 さて、ここまで読んでもハヤトの行動(心理)は理解できないと思いますので、その後のエピソードを交えて説明しましょう。 ハヤトは3人家族。父、姉、ハヤトの3人ですが、別々に暮らしています(リョウたちも、姉の存在を知らなかった)。父は会社を経営しており、ハヤトも姉も経済的に不自由はないようですが、母親の不在が、一家に影を落としています。と、言うのは、母親は病死したのですが、臨終に際し、父親は一切、その姿を現す事がなかったからです。当時、中学生(?)だったハヤトは、それ以来、父を憎んでおり、顔を会わそうともしませんでした。実写版セーラームーンのセーラーマーズと同じですね。 以上から推測して、ハヤトの無気力さは、母親を失った事で、自分の存在価値や目標を見失った為と思われます。ミチルに関しても、実際に口を訊いた事はなく、遠くから母親の面影を重ねるだけだったのでしょう。つまりはマザコンですが。 ゲッターロボに乗ったのも、ミチルを救う為ではなく、「母親(思い込みの中の)」を救う為だったと思われます。 これをガンダムで例えると、「もう、サイド2の二の舞はゴメンだ!(byシロー・アマダ)」と言う事です。母親は救えなかったが、ミチルを救う事は出来る・・・それは、ハヤトなりの贖罪だったのでしょう。 ここまで読んで頂けると、「ボインちゃんが大好き」と言う言葉に秘められた、屈折した思いを理解して頂ける事と思います。 なお、続編の「ゲッターロボG」において、ハヤトはミチルとイイ仲になります。…主役のリョウをさしおいて。オイシイ役ですね。 さぁ、これで貴方も明日から安心して使えますね、「フッ…俺はボインちゃんが大好きでな」と。なお、実際に使用した場合、当方は一切責任を持ちませんので、使用する場合は必ず自己責任でお願いします。

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