花が咲く頃に

「さようなら」
を言おうとして手を挙げたけど
ごめん振れなかった
拳ゎ少しだけ半分だけ開いたけど
これ以上開かないみたいだ

ごめんな
お前に一番さようならを言いたいのは俺だけど
一番言えないのも俺…

本当にごめん
心ん中でちゃんと叫んでるよ
「頑張れ」
「また会おうな」

さようならはやっぱ言わないでおく
さようならはなんかつらいもんな



あぁ
後1時間で汽車は遠くにお前を連れてく
携帯に何度も表れる名前はお前じゃないけど
きっと携帯ごしにお前はいるだろうな


後40分しかない
駅までは20分かかる
歩いてでも間に合うけど
お前の顔をどんなふう見ていいかわからない
お前にどんな言葉をかけていいかもわからない

あぁやだな
お前はどんどん進んでいくし
自分は進みたがってるだけでなんもしてない







お前にかける言葉もみつけられなくて
自分の進む道のレールも敷けなくて

だめだなぁ
こんな奴を冗談でも親友って言ってくれてありがとうな
お前は誰より最高のともだったよ



ごめんな
ありがとう

いつかこんな奴でも誇らしく生きていけてたら
こう言わせてくれな

「さいこうのとも」

って


駅まで全力で走るわ
半開きのこの手でもお前に向けて掲げさせてくれよ

うつむきながらだけど
微かにだけど
笑い呟くから



「さようならは言わないどく」




何も言わないからその理由をちゃんと聞きに来いよ