|
テーマ:読書日記(1986)
カテゴリ:読書記録
最近読んだ小説の中で、一番胃袋を刺激された(そして少しゾッとした)一冊、それがこちら、柚木麻子さんの『BUTTER』 連続不審死事件の容疑者として逮捕されたのは、決して若くも美しくもない一人の女性。 しかし彼女は、複数の男性から多額の援助を引き出し、自らは高級レストランで美食の限りを尽くしていた――。 あらすじだけでも十分に引き込まれますが、この小説の本当の面白さ、そして恐ろしさは、その圧倒的な食べ物の描写にあります。ページから匂いが漂ってきそうなほどのリアルさです。タイトルの通り、作中には「バター」を使った料理がこれでもかというほど登場します。 熱々の炊きたてご飯にのせたエシレバター。そこにたらす数滴の醤油。読んでいるだけでお腹が鳴ってしまい、夜中に読むのは本当に危険です。 事件の真相を追う主人公の女性記者が、容疑者の語る「食」の喜びに少しずつ飲み込まれていき、体型や考え方までも変化していく様子から目が離せません。「女性の幸せ」や「世間の目」という言葉に、どこか違和感を覚えたことがある人におすすめの一冊です。周囲の価値観に合わせて生きるのではなく、自分がどう生きたいのかを大切にしていいと気づかせてくれます。 単なるサスペンスではなく、社会が女性に求める「痩せていることが正義」「自立しなければいけない」といったプレッシャーを、バターの濃厚な脂がドロドロと溶かしていくような、そんな圧倒的なパワーを持った小説でした。読み終わったあと、きっとカロリーの高い美味しいものが食べたくなります。ダイエット中の方は要注意ですが、極上の読書体験をしたい方には全力でおすすめしたい一冊です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 15, 2026 04:20:22 PM
コメント(0) | コメントを書く
[読書記録] カテゴリの最新記事
|
|