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カテゴリ:天使ママになって
小春が天国へ行ってから…
病院の廊下を歩く時、絶対に下を向いて歩いた。 幸せそうなお母さんに会いたくなかった。 自分が惨めで仕方なかった。 「話しかけないで…」心の中でずっとそう願っていた。 先生の回診の時も平気なふりをした。 どうやら、ちょっとだけ精神的にヤバイと思われたみたい。 実習に来ていた学生の看護師の卵さん、 私のことはすでに知っているだろう…。 何も言えないで、ただ困ったような顔をしていた。 カワイソウナ、目デ、ミナイデ… でもね、入院中は家族がずっとそばにいてくれた。 小春の事を知った大阪の妹は朝一番で駆けつけてきた。 福岡で看護師をしている2番目の姉は夜勤明けで駆けつけてきてくれた。 小さい頃いつも泣いていた私の面倒を見てくれていた長女。 4人姉妹が揃った。 何も言わないけど、ずっと病室にいてくれた。 今考えれば、ただそばにいてくれるだけで本当にありがたかった。 姉妹っていいね。 そう、小春の3ヶ月前に天国へ旅立ったひいおばあちゃん。 春子しゃんのお葬儀の時もみんなで寄り添った。 大好きだった 90歳の春子しゃん…。 今から人生が始まるはずだった小春。どうして人は死んでしまうのかな…。 小春の死は、1000人に1人という臍帯過捻転が原因だった。 先生から、この病気についての資料が少ない為、その要因などを 解明する為に解剖をどうするかと聞かれた。 もちろん、そのことによって小春を死に追いやった原因も 分かるかもしれないということ。 でも、絶対いやだった。 ママからの酸素が届かなくて本当に苦しかっただろうに もうこれ以上、傷つけたくなかった。 パパも家族もその思いは一緒だった。 いくら原因が解明できようとも、それが多くの人の為になると いっても私は嫌だった。 天気の良い午後、パパが車椅子を押してくれて病院のお庭を 散歩した。 久しぶりに感じる太陽だった。 すごく温かで気持ちが良かった。 二人で、空の流れる雲を見ていた。 そっとまた涙が流れた。 パパは私の入院中、何度も「仕方ない」と言っていた。 それは、現実を受け止めることのできない自分へのけじめ。 自分でそれを言い聞かせるように何度も何度もつぶやいていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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