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全国の公立図書館で山口県の高専女子学生殺害事件の容疑者(19)の実名と顔写真を掲載した読売新聞の閲覧が制限される事態が起きました。20歳未満の容疑者の実名報道を禁じた少年法の趣旨に反しているからだそうです。
ある図書館では8日付けの読売新聞の朝夕刊を一時撤去しました。顔写真と実名部分にシールを貼って閲覧させた図書館もあるそうです。読売新聞では容疑者の死亡が確認されたので少年法の趣旨から逸脱していないと判断したそうです。 週刊新潮は死亡が確認される前に実名と顔写真の公開をしました。読売新聞と一部民放テレビは死亡確認後に実名報道をしましたが、その他の新聞とテレビは実名報道をしていません。今回はマスコミ間で報道姿勢が異なりました。 公立図書館の図書の展示をめぐっては、新しい歴史教科書をつくる会のメンバーが関係する著書が廃棄されたり、ジェンダーフリー(性差否定)などを推奨する書物が撤去された事件も過去に報道されています。 公立図書館では猥褻な図書、特定の政治的主張を掲げた図書などを購入・展示できないと判断される場合もあるでしょうが、公序良俗に反しない限りできるだけ多方面に渡る図書が閲覧できるようにすべきです。 図書館は公序良俗の判断を抑制的にすべきです。普通の本屋で手に入る図書は基本的に図書館に備えておくべきです。定期購読している新聞、雑誌などは記事の内容に図書館の恣意的な判断を差し挟むべきではありません。 読売新聞の発行部数は世界一です。その新聞社が責任を持って掲載した記事よりも一行政機関の判断が優先すると考えるのは行政の傲慢です。行政による検閲は最初は反対が起きそうでない問題から始まるからです。 最初の一歩を許してしまうと坂道を転げ落ちるように既成事実が積み重なります。戦前の日本を軍国主義に導いた責任はマスコミにもあります。報道の自由を軍部に売り渡したマスコミと軍部の検閲が相乗作用を引き起こしたのです。 高知県の運営する掲示板「ぷらっとこうち」に参加者が書き込めなくなりました。トラブルの発端は管理者が参加者の書き込みを強制的に削除したからですが、登録抹消にまで発展し、抗議の声を抹殺するために掲示板を閉鎖しました。 公立図書館の閲覧規制も公立の掲示板を閉鎖するのも行政の独自の判断でなされたのです。彼らは「由らしむべし知らしむべからず」、「人民はただ従わせればよく、理由や意図を説明する必要はない。(広辞苑)」と思っているのでしょう。 民主主義の基本は情報の共有にあります。情報開示、情報公開、情報発信・受信の自由は憲法が保障している重要な権利です。憲法21条に「表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない」と明記されています。 公務員は公僕として果たすべき義務は平気で手を抜くのに、権限を振りかざすのが大好きなようですが、本末転倒も甚だしいと思えます。大局が見えず、重箱の隅をほじくるばかりが仕事だと勘違いしているようです。 事務規則には精通しているが、行政法などを見直す機会もなく、憲法などは忘れ去っているのでしょうか。憲法99条「公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」は忘却の彼方、「忘却とは忘れ去ることなり」なのでしょうね。 瀬戸キリスト教会 HP お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006/09/15 08:38:34 PM
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