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カテゴリ:経済
「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション制度」は今国会には上程されないようになりましたが、ホワイトカラー、事務職に掛かるコストの上昇に対する経営側の危機感の表れです。リストラの第二陣は事務効率の向上のようです。
日本の企業風土として質より量が、結果より努力が評価されてきました。サービス残業も日本だけの風景でしょう。団塊の世代が退職するのですから、企業風土を根本から改善したいという経営側の意図も理解できますが時期尚早です。 労働時間規制除外が適用されたからといって自己裁量で勤務時間を活用できる社員は少ないと思います。その能力があったとしても周囲がそれを許さないでしょう。結局、サービス残業が合法化され、事務効率の改善はなされないでしょう。 私の叔父は一流企業の研究職で博士号も取得しましたが、終業のブザーが鳴ると共に退社していたそうです。在職中、マイペースを守り抜けたのは研究職であったからでしょう。事務職ならば残業を拒否することは許されなかったでしょう。 事務職ならば結果を出していても残業を拒否し続ければ上司からの評価は芳しくないでしょう。団塊の世代は残業が100時間を超えるのは常識でしたでしょうし、それが達成感をもたらしました。サービス残業が企業戦士の勲章でした。 リストラが企業から無用な管理職をなくさせましたが、団塊の世代が退職するので管理職のポストにも余裕が出たのではないでしょうか。裁量労働に移行するのは時代の要請でしょうが、職場の意識改革を先行させるべきだと思います。 女性の労働力を正当に評価しない悪習も改善すべきです。柳澤厚労相の発言からは女性を子育ての道具と見なし、2人の子供を持つ夫婦が正常だと見なす自民党保守派の本音が伺えます。女性の社会進出を妨げる論理があからさまです。 少子化に伴い労働力が不足することを憂いていますが、女性の社会進出を促進させれば労働力が倍増します。結果としてフランスや北欧のように出生率の向上が期待できます。子供を産んでも職を失わないで済むシステムが必要なのです。 男性が家庭へ寝に帰るだけていう日本の企業風土が出生率を低下させる原因の一つです。女性が子育てのための時間をとれないのも出生率に影響しています。子育てと裁量労働をリンクさせる制度ならば国民の支持を得られたかもしれません。 グローバル化は必然的にマニュアルを作成する勝ち組とマニュアルを実行する負け組とに二分してしまいますが、日本の報酬の差は2桁程度ですから健全だと思えます。アメリカ、中国、ロシアなどでは報酬の差が4桁以上になるからです。 韓国のIMF不況から立ち直るための構造改革では劇薬が処方されたようです。サムソン電気では年俸100万ドルを越す社員が100名もいるそうですが、定年は45歳だそうです。日本から見れば桁外れの成功報酬ですが、違和感を覚えます。 日本の国民感覚からすれば能力至上主義は受け入れがたい制度です。企業の利益は個人に対する成功報酬に偏るのではなく、社員にも還元するのが国情に合っています。アングロサクソン的な略奪民族ではなく農耕民族だからです。 派遣社員の給料も最低賃金もアングルサクソン主導のグローバル化から日本の国民を守る視点から再考すべきです。景気が回復してきたのでリストラ一辺倒から労働者への利益配分を高め、個人消費を増やして自力回復を目指すべきです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007/02/07 09:49:22 PM
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