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カテゴリ:医療
救急患者の終末期医療について、日本救急医学会が初のガイドラインを造りましたが、尊厳死を求める声を反映したものです。患者を生物学的に1分1秒でも生し続ける医療に対する批判が医療側、患者側から出てきたからです。
(1)不可逆的な全脳機能不全(脳死)(2)生命が人工的装置に依存している(3)治療を継続しても数日以内の死亡が予測される場合には、人工呼吸器の取り外しを容認するなどの実際の医療行為に即した内容となっています。 終末期医療の現場では敢えて尊厳死をさせた医師が殺人罪で起訴される場合、民事訴訟で訴えられる場合が続出しています。トラブルを恐れる医師は人工呼吸器を付けさせ、植物状態でにしても生き長らえさせることに専念します。 日本には尊厳死協会があるように、生前に一定の書式に則った自筆の遺書を残さなければ、強制的に生かされます。植物状態にされてまで生き長らえたいと思っている人は余りいないしょうが、医療の現場ではそうはいきません。 延命治療には家族に死を受け入れるための時間を与える働きがあります。家族が揃うまでは人工呼吸器を付け、最期のお別れをしてから人工呼吸器を取り外すのは大概の病院でなされていますが、法的にはグレーゾーンでしょう。 日本人には脳死が受け入れられにくいように、尊厳死も受け入れにくいようです。キリスト教のように霊と肉体を区別して考える習慣がないからです。脳死状態でも肉体さえ生きていれば、肉体に心が宿っていると思うからでしょう。 医療現場では家族は1分1秒でも生き長らえることを望みますから、医療側の冷静な判断が必要です。不必要な医療は患者の尊厳を踏みにじり、家族の負担を増大させだけではなく、社会が負担するコストも増大させるからです。 緊急医療は救急車で運ばれた場合が主ですが、通常の医療にも通用するガイドラインだと思います。良心的な医師ほど延命治療に消極的になると思われますが、司法が延命治療の現場に介入している現状では明確な指針が必要です。 人には人間としての尊厳を保ちながら死ぬ権利があると思います。オランダでは安楽死さえ合法化されています。安楽死には賛否両論があり、国民的な合意は無理でしょうが、尊厳死には国民の多数の合意が得られると思います。 法的な整備が遅れており、尊厳死のハードルはかなり高いようです。現場では暗黙の了解で行われているようですが、表沙汰になれば、尊厳死を法的に認めさせる難しいのが現状ですですから、医師はトラブルを避けたがるでしょう。 医療訴訟専門の弁護士によれば法律相談の半分はクレーマー、病的に苦情を申し立てる人であり、訴訟に馴染まないそうですが、彼らには尊厳死は良い標的でしょう。医師は社会的地位を失いかねないリスクを負わされているのです。 安楽死の必要性を認めながらも、何もしないのが最も安全な道ですし、病院にも高額な医療報酬が入りますから、医療制度を改めるべきです。患者、家族に不必要な負担をかけず、社会も不必要なコストを負担しない制度が必要です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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