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カテゴリ:医療
日本人の死亡率の1位はガンです。国民の3人に1人、30万人がガンで亡くなるそうですが、国民にはガンの情報が不足しています。厚生労働省がガンの生存率を全国がんセンター協議会加盟の病院の26施設毎に公表しました。
インターネットやマスメディアが病院にランク付けをしたり、根拠のない情報が広がっていますから、厚労省が統計的に確かな数字を公表したのは一歩前進ですが、情報を受け取る側には統計学的な知識がありませんから不安です。 数字の偏りにはそれなりの理由があるようですから、数字が一人歩きすると危険ですが、人気投票のようなランキングよりも科学的な参考資料となります。病院の情報公開に一律の基準がありませんでしたから、意義のある試みです。 ガンは身近な病気ですが、告知されるようになったのはつい最近のことです。西欧では告知するのが当たり前ですから、日本は特殊だったといえます。日本人の死生観からくるのでしょうが、告知されなかった病人は少なくありません。 禅宗のお坊さんから修行を積んでいるから告知して欲しいと頼まれ告知をしたら、生きる気力がなくなり早死にをしたという話を聞いたことがあります。一時代も昔の高名なガン専門医の談話ですが、現在にも当てはまるようです。 末期ガンを告知されてからも病院のベットの中で苦しみながら過ごさなくてはならない人が多いようです。人生の最後の幕が下りるまでをホスピスや在宅ケアーという形で過ごさせるべきですが、社会には準備ができていません。 少なくともガン患者には痛みを緩和させる治療を受ける権利があるはずですが、緩和治療ができる医師、施設が少ないようです。ガン末期の痛みは想像を絶するようですから、緩和治療は人権問題ですが、普及は遅れているようです。 日本の医療は患者を一分一秒でも生かすのが目的であり、患者の意志は無視されるようです。遠藤周作は延命治療を拒否する旨を主治医に託していましたし、奥さんもそれを望みましたが、人工呼吸器をつけさせられたそうです。 尊厳死協会があるように日本では延命措置を拒否することができません。先の健康保険の改正でも医師の尊厳死確認は世論の反発を買い、撤回させられました。本人の生前の希望に反して施す延命措置に意味があるとは思えません。 日本人は脳死を人の死として認めても肉体の死を冷静に見送られないようです。植物人間の人の肌には温もりがあり、心臓が脈打っているからですが、苦しみを終え、平安な世界に移った人を再びこの世に戻すのは罪だと思います。 人は必ず死ぬのですから、平安な最期を望む権利は誰にでもあります。過剰診療を拒否する権利はあるのです。ホスピスでは過剰な診療をせず、静かに最期を迎えさせるようですが、社会の負担する医療費もむしろ少なくなります。 後期健康保険が問題になっていますが、老人に掛かる不必要な医療費の増加が背景にあります。過剰な医療が社会の負担になっているからです。社会で働けなくなれば、静かに年を取り、静かに世から去れれば本人も幸せでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008/10/06 08:41:27 PM
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