カルテルは自由競争を疎外するから悪である
国内外での独占禁止法違反が目立ちますが、欧米の課徴金と国内の課徴金との格差が激しすぎます。クリントン時代のジャパンパッシングが思い起こされましたが、日本との合同捜査の結果のようですから、過剰反応かも知れません。 国際経済が収縮していますから、企業はカルテルの誘惑に陥りやすいともいえますが、正常な経済行為を冒すものですから許されません。自由市場は自由な競争を前提にして成り立っていますから、自ら墓穴を掘るような行為です。 ECが摘発した自動車用ガラスにしろ、アメリカが摘発した液晶ディスプレイにしろ日本の得意分野ですから、国際競争力があるはずです。寡占状態の市場のようですから、狙い撃ちされやすいかも知れませんが、不用意な過失です。 国内の建材向け亜鉛メッキ鋼板は中小企業向けですから、強者の論理を弱者に押しつけた感があります。公正取引委員会が価格カルテルの立件に取り組むのは久しぶりですが、独占禁止法改定の成果が目に見える形で出たようです。 自首した企業が免責されるシステムが効果を現してきたようです。経済犯には罪刑法定主義は向かないようです。判決が出た時には既に手遅れになっているからです。むしろ欧米流の司法取引、厳罰主義が効果を発揮するようです。 しかし、日本の課徴金は欧米とは一桁ぐらい違うようですから、やり得だと思う企業が出てきても仕方がありません。公取法改正を速やかに成立させるべきですが、それでも国際標準から離れているようですから再改正をすべきです。 オバマ新大統領はクリントン政権に先祖返りをするようですから、再びジャパンパッシングが盛んになると思われます。日本人には理解不能な判決が乱発されましたが、陪審員制度の元では母国優先の判決が出るのが当然だからです。 国際企業のコンプライアンス体制が甘いと欧米の餌食にされますが、貿易相手国ですから文句のつけようがありません。いくら自らに厳しくしていても国際競争の勝者にはなれませんから、国内法から国際標準に合わすべきです。 企業のカルテルに対する認識が甘いように思われます。自由市場が損なわれれば日本が最大の被害者になりますから、他人事ではないはずですが、日本人の談合体質は農耕民族である国民性を繁栄していますから、荒療治が必要です。 略奪主義の牧畜民族であるアングロサクソンの金融資本主義は崩壊しましたが、彼らの体質が変わるわけではありません。新たな収奪、略奪の機会を狙っているでしょうから、日本は伝統的な物作りで対抗するしかないでしょう。 共存共栄が一番望ましいのですが、現実には不可能ですから、自ら墓穴を掘る行為だけは止めるべきです。外資系の金融業の社長が農耕民族と仕事をする気はないと豪語していたようですが、おそらく会社から追放されたでしょう。 ウォール街の強欲は度を超していましたが、それがアメリカに活気をもたらしていたのも事実ですから、自由競争が資本主義の原点です。カルテルは自由競争を疎外するから悪なのです。イノベーションの機会を疎外するからです。