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たまにはタイムリーな話題でも。
先日、55歳の主婦が群馬大学医学部を受験し他の受験生よりも得点が上回っているにもかかわらず不合格になった件が報道された。試験は公平でなければならないが、当然のことながら競争であり、この主婦はその競争で他の受験生よりもいい記録を残したということは確からしい。 試験が競争である以上、上位の者は当然しかるべき待遇を受けるべきでありこの主婦が不合格となったことは非常に残念といわざるを得ない。大学の懐の狭さを露呈するものであり、各地で糾弾されても甘んじて非難を受けるべきだろう。 本来大学は他の学校と違い、門戸を大きく開き、学びたい者を受け入れ、助成し、社会へ貢献する人材を育成するという使命を帯びている。にもかかわらず、大学が定めたルールに則って勝ち上がってきたこの主婦を門前払いするのはこうした使命を放棄していると受け取られても仕方ないだろう。こちらでも言及されているように廃校はともかく、何らかの措置が講じられることを期待したい。 ……だが、しかし。 大学の懐の狭さだけを非難していてもこの問題が解決するとは思えない。受験規定に年齢上限などがないなど、規定の甘さももちろんあるだろうが、今回の主婦が大学を提訴するといった行動も今ひとつ理解できない。 彼女はいったい何を考えて医学部を受験しようとしたのか。いろんな事由が考えられるだろうが、いずれにせよ普通に入学し6年後に卒業したら還暦を超えている。卒業してもさらに2年の研修期間が課せられていると仮定すれば(6年後の研修制度などわかったもんじゃない)実際に独り立ちが許されるのは63歳くらいと考えられる。 2年の臨床研修を経た63歳の医者がいきなり開業するとは考えにくい。勤務医の選択をするなら病院にもよるだろうがすでに定年または定年に近い。研究職という手もあるだろう。保健所などの勤務もあるだろう。しかしいずれも定年制を敷いているところが大半だ。 僕の発想が貧困なだけで、もしかすると年齢など関係なく自由に働ける現場があるのかもしれない。しかし、いずれにせよ周りの人間がセカンドライフを送ろうかとしている時に、これから先どうするつもりでいるのだろう。 主婦が学力的に優秀であるのは間違いない。しかし身体の加齢は誰にも等しく訪れることもまた事実だ。働くことのできる残りの期間は他の受験生と比較して大幅に短く、医療現場で必要とされるニーズに応えられる機会は少ない。 今回の主婦の件は色々と考えさせられる。大学担当者の「年齢が問題となった」という非公式な説明の仕方にも問題があるだろうが、やはり提訴するのはどうかと思う。医学部受験へ向けたエネルギーや、大学を提訴するというエネルギーがあるのならもっといい形で社会に貢献してほしいと思う。きっと立派な仕事ができる主婦に違いないのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
主婦ってあいまいですよね。
専業主婦から兼業主婦までいろいろです。 歴史的背景もあるのでしょうけど 夫には主夫・兼業夫ってないですものね。 これが55歳男性だったら 落とさなかったかも この主婦の人ってマスコミが総称している人 どんな志があって、 医師を目指したのか聞いてみたいです。 体力的にもきついですもんね。 (2005.07.02 15:19:50)
コメントありがとうございました。
55歳男性であれば落とさなかった……。そうかもしれませんねぇ。しかし医師という仕事には男も女も関係ありません。給料も同じくらいもらいますし、その分仕事も同じくらいのきつさです。男性でも体力的な理由などできつくない仕事をする方もいれば、女性でも外科医など最前線でバリバリ仕事をしている人もいます。 僕としては「年齢」で考えてほしいのですが、今回の入試担当者や受験者ご本人の意向がイマイチつかみづらい以上、こうした性差に対するバイアスもあったのかもしれません……。 (2005.07.02 16:58:00)
レジうちのパート募集が、45才くらいまでと書いてあります。
私はもう50才なので、今の仕事をやめたら、パートにも採用されないのか、と寂しく思いました。 今回の場合、試験には合格したのだから、入学は許可してもよかったのではないかと思います。 医師という仕事につくかどうかは、その女性が決めることなのだから、ちゃんと学費を払って勉強する分にはかまわないのではないでしょうか。 卒業してから就職する際に年齢がもう退職の年齢になっている、なんて、その人は当然わかっているはずだから。 私が思うに、「生きている証、自信」のようなものを得るために、受験されたのではないでしょうか。 ひょっとしたら、若いときに、何かの事情でやむなくあきらめた道だったのかも。 それを、今、奮起してもう一度チャレンジしてみようとされているのかも。 就職がどうのこうの、ではなく、学びたい、ということなのではないのかしら。 そういう意味では、私も、看護婦さんと婦人警官が夢だったので、勉強だけでもしてみたい、訓練だけでもしてみたい、という気持ちがありますよ。 (2005.07.02 19:03:54)
コメントありがとうございました。
確かに、学びたい気持ちを否定するような大学側の対応はお粗末です。そういったチャンスや志はもっと大切にされてしかるべきだと思うからです。 ただ、定員が決まっている「競争」なのでこの主婦が合格すると(恐らく)若い受験生1名が不合格となるはずです。たかが1名、されど1名。他の若い志を押しのけてまで合格することにどれだけの意味があるのか僕には分からないのです……。 (2005.07.02 19:32:40)
私は、受験生の方の都合を忘れていましたね。
自分の将来をかけて受験する人たちがいるのだから、枠が決まっているのだとすると、その人には気の毒かもしれません。 とすれば、その女性の方は、別枠で入学、という形ならいいのかもしれませんね。 すでに、試験では合格しているのですから、そういう特別枠というものを作ってもいいのではないかと思うのですけれど。 この間、私の職場に、大学で学びたい人を募集する案内が来ていました。二年間くらい職場を離れて、大学生となって専門分野の研究をするのです。また学生に戻るのはとても魅力的な話なので、ずい分悩みましたよ。 その方にも、このような枠があればいいのにね。 (2005.07.02 23:15:49)
文字数制限がありますので、提訴部分のみにて書かせていただきます。
提訴とは、そんなにも立派でない方法なのでしょうか?提訴は原告にもデメリットが多い方法です。家族も巻き込むことになるでしょう。この手段の選択までには、彼女なりの葛藤はあったのではないでしょうか。 「事件の責任の所在をはっきりさせる」という意味では大学を提訴することも、「もう二度とこのようなことがおこらぬために」という気持ちからであれば、社会への貢献とはいえないでしょうか。 いずれにせよ、この女性がどのような気持ちで提訴したのかは裁判の段階で明らかにされるでしょう。提訴が適切だったのかどうかは、それから考えても遅くないのでは、と私は感じました。 (2005.07.04 14:12:23)
どくちるさん、こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。 私の意見としては群馬大の判断は 妥当だと思います。 私も優秀な方だと思いますので、 裁判という多大な時間と費用のかかることを するよりはその時間と費用で難関資格試験を 受けたほうがいいのではと思います。 どくちるさんのご指摘の通り 多分、健康面、体力面の判断が 考慮されたのでしょうね。 私の友人にも医学部生がいますが、 相当ハードらしく寝る時間がないほど 大変だと言っていました。 特に医学部受験は事実上の就職試験ですから ハードな医療現場についてこれるか 判断されているのかもしれませんよね。 保険会社の宣伝にあるように 60代になると罹患率が高くなるのでしょうから 実際に研修についてこれるかを 問題になったのでしょうね。 (2005.07.04 14:49:31)
どくちるさん、御無沙汰しています。「一般内科は流行に乗り遅れているのか?」で長々と書かせていただいて以来です。
今回の事件は結論から言えば、群馬大学(以下、群大)のミスでしょう。ミスといっても、1.合否判定のミス、2.受験資格規定のミス、3.試験形式のミス、など他にも考えられますが、ここではこの3点について僕の私見を述べます。 まず合否判定についてですが、学力試験(小論文のようなものも含む)で公平に合格者を決定する(と少なくとも謳っている)今回のような入試の場合、合格ラインを上回っていたのであれば文句なく合格でしょう。このことについてはいずれ法的に裁定が下りるでしょうから、法曹界の人たちにお任せします。そういう意味で泣き寝入りせずに「入学を求めて」提訴した勇気には敬意を表したいです(主婦の方の人物像をよく知らないことを前提の発言ですけど)。 次に受験資格規定のミスですが、言わずもがな高齢受験者を初めから受験できないようにしておけば良かったんです、もし群大がそういう合格者を取りたくないんであれば。その規定を行っていないのにもかかわらず年齢を理由に不合格にするのは不当だと思います。 最後に試験形式のミスについて。群大は面接試験をやったのでしょうか?おそらくどの受験生にも面接官は「なぜ医学部を受験しようかと思ったのか?」を尋ねると思うのですが、この主婦の方にも彼女の志望動機を説明する機会があれば、合否は別として今回のようなことにはならなかったと思います。合格ライン自体は不透明になりますが、合否の操作が出来るという大学側へのメリットが一つあります。 (2005.07.04 18:22:42)
しかしそんなことより、55歳の主婦が恐らくは相当な努力をして「センター試験と2次試験の総得点が合格者の平均点を上回っていた」ほどの学力を身につけ、どうしてそこまでして医学部に入学しようとしたのか?
興味がありませんか?僕にはものすごく興味があります。55歳まで受験(合格)できなかった理由、医学部に入って何をやりたいのか、どんな夢があるのか、一つ一つ聞いてみたい。それから55歳で医学部に入り、医師になってから遭遇すると考えられる問題点(体力的なことや定年制のことなど)についても予め聞いてみたい。何も考えずに受験したとは思えないんです。 55歳 女性、思いつくのは自分の母親です。母がもし医学部に絶対行く、と言い出すようなことがあったら・・・。 彼女に志望動機、夢を語る場所と時間を与えて欲しい。まだ間に合うはず。 (2005.07.04 18:24:08)
zebraさん
コメントありがとうございました。提訴という形がどれだけのメリットをもたらすのか卑小な僕にはあまりわかりません。確かに社会への問題提起であったり、自信のアイデンティティーを確立するためであったり、理由はいろいろと考えられると思います。ただ、提訴という形をとる前に何らかの方策はとれなかったのかとは思います。 レスになってなくてすみませんm(__)m (2005.07.05 00:30:05)
9個のAを取るぞさん
コメントありがとうございました。確かにハードではありますが、これぐらいのエネルギッシュな主婦ならばおそらくそれほど問題はないのだろうと思います。ただ、他の学生たちとの絶対的な年齢差だけは解消することができません。こうした差が個人的あるいは社会的にどういった影響を及ぼしてくるのかがわからない以上、麻雀でいう「安全牌」をとりたくなった大学の気持ちもよくわかるのです。 (2005.07.05 00:33:23)
ひでさん
コメントありがとうございました。確かにいろんな意味で興味ある出来事でした。「五十の手習い」というように勉強を始めるのに年齢などは関係ありません。しかし単に耳学問だけではないのがこの業界です。避けたくても通らざるを得ない道があるのは確かなので、そこを乗り越えられるか否かがキモであるように思います。ここまで大事になった以上は、この主婦の方には是非医学部に入学して頂いてその経過を随時報告してくれるとうれしいのですが……(^^;;。 (2005.07.05 00:37:31)
お返事ありがとうございました。zebraさんが提訴について書かれていたので、もう一言。
彼女(今回の主婦の方)が医学部に入るのには提訴以外に道はあったのでしょうか?僕には他に思いつきません。しかも提訴して仮に勝訴したにせよ、それを背負って大学生活、臨床研修を行っていかなければならないんですから、よっぽど変わった人であるか、このまま泣き寝入りしたら人生において悔いが残ると思うほど医学部に入ってやりたいことがあるのではないでしょうか。もし後者であるなら、そう考えている人に対して我々が無責任に、他の形で社会貢献をすべきとか、他の難関資格試験を受けろとかいうのは、あまりにも勝手な意見だと思います。 数多くの定期試験、臨床実習、医師国家試験、多忙な臨床研修。確かに医学部に入っても自分の志を実現するまでの道程には、越えなければいけないハードルがたくさんあります。それ故せっかく若くして医学部に入っても、医師免許を取っても、それを生かしきれずにいる人がいます。また今回のような高齢の方にはなお高いハードルになることが容易に想像できます。体力と記憶力は今よりもさらに低下するでしょうし。 (2005.07.05 04:11:47)
しかしながら、高齢の方がどくちるさんや私と同じ医療者に与えてくれるものは大きく、またその人が医療者となった時にこれまでにないものを患者さんへ新たな提供できるかもしれません。医療現場以外の場所で長く過ごされた経験と斬新な視点は医療現場にいくら長くいても得ることはできません。ただでさえ保守的な体系をとっている医療界に対して、既に私たちに見えなくなってしまった問題点を提起してくれるのではと、私は期待しています。
最後に、今回の主婦の方が無事医師国家試験に合格した時の話。最初から体力的なことを考慮した臨床研修を周りが考えればいいのでは?夜間に当直をどうしてもしないといけないのか?その分日曜に働くんじゃダメか?頭ごなしに大学に入る前から高齢者は体力がないから、というのはどうかと。今の研修医にも体力的に問題がある人(というよりも気力がない人)はいますよね。それよりは正直ましだと思います。「全盲の男性が医師国家試験に合格したものの臨床研修規定がハードルとなっている」というコラムがありましたが、ハンディキャップを持った人や高齢の人が、体力や身体障害のハンディキャップを乗り越えるためには、周りの人たちが協力することに加えて、彼らは新たな問題提起を促してくれると期待しながら、役割を分担していくことが必要だと思います。 うお、もう寝ます。おやすみなさい。 (2005.07.05 04:13:28)
例の主婦の方は面接の結果、不適格との判断になったようです。確かに新聞に出ているような「肺炎で入院した父への看護が手厚すぎて、逆に自分で身の回りの世話が出来なくなっていった」というきっかけは、よくわからないです・・。やっぱり少し変わった人だったということなのでしょうか?
(2005.07.10 00:12:15)
コメントありがとうございました。その後の経過や詳細な動機などはよくわからずじまいでした。難しい問題だとは思うのですが、最終的には大学の要項に甘さがあったのではないかと思っています。
こういった事例と「要項に『30歳未満』とあるのは憲法違反だ」と提訴する場合とでは違ってくるでしょうし...。 (2005.07.10 00:47:21)
近医は、90歳まで現役で働いていました。
勤務医でなく開業医ならば、自分の体力に自信がある限り可能かと思います。 医者は年齢ではなく、人間性・仕事の能力だと思います。 また、本人が強い志で医者を希望しているのならば、他人が口出しをすべき事ではないと思います。 平均寿命も80歳を超えているのに、55歳はまだまだこれからと、私は考えますが。 合否に年齢が関係するのならば、初めに入学の条件として提示するべきです。 年齢を理由にして落とされた悔しさが私にはとてもよく理解できます。老化は個人差が大きいですから。大学は、医局に入るならば、若い人の方が何かと使いやすく教育しやすい、と考えたのかもしれませんね。大学が教育の場を与えるだけだったら、この方の合格を認めたはずです。 (2007.01.19 13:55:17)
彼女の、医学部入試の動機は実父が受けた高齢者医療に疑問を持ったからだ。
(佐藤かおるさんの)父は、退院してくるたびに歩けなくなったり、認知症が出るなど身体機能を失い、次第に生きる気力も失っていったという。 「父がよりよい医療を受けられるため自分で情報を集めるべきだったのに、医者任せにしてしまったと後悔した。一人の人間が最期に『いい一生だった』と思える高齢者医療に携わりたいと考えた」東京新聞特報7月5日より引用 (2007.11.17 13:22:04)
その年齢で受かった方が社会にはマイナスと思わないものか不思議です。
国公立の医学部には多額の税金で補助が出てると言うのに、そんな働ける期間が限られてる人、不合格にしてほしい。って思うのが一般人の考え。 そんなになりたかったら国公立やめればいいのに。 普通に迷惑。 これを期に年齢制限設けるべき。男女差にしてとしかり。 (2018.12.15 13:53:40) |
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