スチュワデスが呆れたドクタートヒモイ公式げすとはうす ~世界は基本的に広い~んですけど・・

mm


「広がっていくぞ。俺がどんどん広がっていくぞ。よく見たら部屋まで、広がっていくぞ。部屋の広がりに俺の広がりがついていくのは、大変だぞ」

「そうか。宇宙は膨張しているんだった。風船だ。何もかもが膨張しているから、素面では気がつかないのだ。木だってー、便器だってー、ボールペンだってー、音楽だってー、膨張していくんだーああああ」

「それは、戸惑うよ。今、外部に意識がいるから、同時進行の膨張を感じることができるということだなー。ううう。頭の中に漢字のテロップがゴシック文字で流れやがった。老人の老いだってよ。そのままやないか。老いた人だから老人やないか。結構馬鹿にされてんじゃないけー」

「面白い質問したろかー。今何時?」

「わー。時間聞くのはタブーやぞ。生まれてからずーっと、この宇宙船みたいな部屋の中にビリーホリディの曲と一緒におるんやでー。いつ終わるとも分からんびろんびろんの世界やで」

「だいたいやねえ、始まりが分からんのに、今が分かる筈ないじゃんか。時間なんて概念、概念。しかし、この港にある鉄鋼所みたいなラジカセからだらだら音が垂れてくるのって何か面しろいなあ。しかし、腕時計ちゅうのはけしからん。時間を区切りおってから。こんなのに秒単位で振り回されてたら、俺らが機械だってことに気がついてしまう日がきてしまったりしてぇ。やばいで」

「日の出は朝、日の入りは寝る。こいつが何万年という原則や。今の俺らみたいや。もしかして、時間だけ、原始人してる?」

「さっきからトイレ行きたいってずっと思ってるんや。でも行くこと考えたら、壮大な旅になってしまう予感で、疲れてしまうわけ。それに二、三秒前までトイレのこと考えていたのに、とにかく忙しい」

「もしかして、俺らの意識って、膨大な情報を取捨選択して、意識と無意識と無視に振り分けているんじゃないかい。今って無防備に情報がだばーっと入ってきてパニくっている訳なんだな」

「でないと、生活でけんわ。一分前の話が、あまりに新情報で上塗りされてもーて、もう忘れてもーた。昔話や。だいたい、長い話したら最初にいったこと忘れてしもとる」

「支離滅裂や。尻や。シリアスな問題や。忙しい」

「鏡見てるけど、サインペンの先の動きが気になってねえ。ミミズが生み出されているわ。それにしても、赤ちゃん状態ですな」

「そうそう。モノと自分の境目がぼやけとる。中と外の違いが分からん。腹筋という腹にあるものが、頭の笑いすぎで痙攣起こしそうや。勝手なものや。被害うけとー」

「おお。そや、この部屋からええ加減に出えへんか。もう何年もおるで。飛び出す勇気がいるけど」

「ちゃうちゃう。また違った世界に飛び出すのはこわーいことだぜ。ウフフフ。これ以上アドレナリンだしちゃ駄目。うーん。いこか」

「でも問題は椅子と尻が引っ付いてしまっていることなんですわ。どうやら尻が椅子に恋でもしてるんちゃうかいな。まさかね。照れるね。尻が勝手にやったこととはいえね」

「おい。面白いぞ。ノートに黒丸書いて、ぴゅぴゅっと線だしたら、ミズスマシや。ミズスマシの大軍じゃ」

「ん?触覚かい?貸してくれ。うん。ん。ん。面白いわー。わーもう五匹も書いてもた」

「そりゃゴキブリじゃないか?ゴキちゃんご一向南国の休日ご招待よ。いくぞー海」

「いくぞー。はいいけど、トイレはどうすんだよ」

「足が動かん。地方分権の時代というのに。手足腸に思考がアナーキーじゃ」

「トイレじゃあ。先いってるぞー」

「何してんだよ。ドア開きっぱなしで」

「トイレに神様がいるんだよぉ。もったいなくて、おしっこなんかできるか。睡蓮がいるよ。祈っているよ」

「神様の代理人ちゅうのはなあ、染色体がちょっと多い訳だな。暇つぶしに人間なんか作りおって」

「神の行動は、人間には理解できないよぉ。失業した神だよ」

「ぎゃあ。文明の利器が降ってきた。水の圧力じゃあ。水の意志やわ。」


painto


Copyright (c) 1997-2019 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.