スチュワデスが呆れたドクタートヒモイ公式げすとはうす ~世界は基本的に広い~んですけど・・

ミンドロ島

フィリピンの首都マニラのあるルソン島から一番近い南の大きな島はミンドロ島だ。昔、小野田さんが発見されたルバング島の横の大きな島だ。そうそう戦争の終わらない小野田さんを説得して連れ帰ったのはヒッピーだった。そのヒッピーはネパールのイエティ(雪男)にその後魅せられ、何度も探しているうちに遭難して帰らぬ人となった。まあそれはいい。
その島にはご機嫌のビーチがあるのだが、ビーチというもの、これは堕落である。朝日を眺めて暗くなるまでにおよそ3時間もないと思われる。
時間スピードが加速度的に増し、そして行動範囲が加速度的に狭まりバンガローのテラスで一日が終わる。
その日も朝におばはんがやってきて「テンプラ食べたくないか?」といわれ、私とマニラで集合した友人は「食べたい食べたい」といった。
そして夕方運ばれてきたのはテンプラではなく(コロモがない)単に油であげただけのえびであった。
そのえびの量たるや、勘弁してくれというほどの山盛りである。バンガローの床下には、匂いをかぎつけ多数の犬が集まりだした。
我々だけでは食っても食ってもなくならない。
しまいには、そのまま犬に投げつける有様。(最初は皮だけだったが)
それをみた現地の女の子は「それは犬が食べるものじゃありません」と涙ながらに怒られた。

辛かった。申し訳なかった。でも胃は限界だった・・・・




3度目か4度目のプエルトガレラであった。港からジプニーでサバン村に着いた。
宿屋のおばさんはワタシを覚えていて、再来を喜び、彼女の家の隣のバンガロウを貸してくれた。もっとも便利なのだが、夜になると、波の音と風の音がが心地よく響くわけがなく、50メートル先のディスコの音がガンガン漏れてくる。勿論、ワタシは毎晩少しだけビールを飲みに行き、舞台でビキニで踊る女性たちと訳の分からないトークをして、一人、静かなビーチを波際沿いに歩く。朝は、子供たちがワタシのバンガロウをノックしてきた音で起き、とりあえずその子供にビールと煙草を買ってくるよう命令し、駄賃をあげる。適当に起き、テラスでぼけっとしていると、ややもすると夕方になってしまうので、海に浮かぶイカダのレストランまでボートで渡っていく。ビールを飲んで、海を覗くと十数メートル下まで見え、珊瑚で埋め尽くされている。飛び込むと怖いぐらいの海。
 もう死んでもいいや、と思う瞬間。

 ある日、宿のおばさんは、西洋人たちが無人島にピクニックにバンカボート( バンカ ジプニー http://www.ccwa.or.jp/hiroba/p_norimono.htm )で出掛けるからあなたも便乗しないかと声をかけてきた。
 断る理由もないので、ワタシは、ピクニックセットを持つのを手伝い、おばさんの後についていった。西洋人が3人に多分マニラから連れてきたのであろうにわか恋人の女性が3人。おばさんに、バンカボート運転手、そしてワタシ。

 ワタシはそのときラジカセを持って旅を続けていたので、珊瑚礁の上を滑る様にボートが進みだすやいなや、音楽を流した。ポリス。
フィリピン女性2人が叫んだ「ワォー、ロッキシー」
そうして、バンカボートの上でリズムを取った。西洋人もガハハと下品に笑う。私も調子に乗って立ち上がってリズムをとろ、、、うと、し、たが、海に落ちた。もうそのまま落ちていってもいいと思った。幸せの絶頂でもなんでもない。エンジン音が消え、西洋人が真面目に心配そうな顔をしてくれて、申し訳ない気分になった。若いフィリピン人女性が古びた一眼レフをワタシに向けてピシャリと情けない姿を撮った。ワタシもボートによじ登り、自分の荷物を開け、照れながら一眼レフを取り出し、彼女をパシャリと撮った。皆が笑った。南国の太陽が熱かった。バンカを見たイルカが併走していた。




○月○日  朝早く、ミンドロ島に。何故ならIDLE LAZYだから。
○月○日  涼しい海風。その風の流れを肌でひとつひとつ感じる。
昔、フィルムの中の世界。この海と、椰子と、海に浮かぶ椰子が数本生えただけの小さな無人島、こいつらはまとめて映画のセットという噂。こんな嘘っぱち、とっくに見破っている。
昔、原色の風景。こいつらは模型に過ぎない。そう思っていたら日が暮れる。
○月○日  夜になった一日何をしていたか不明。
○月○日  起床11時50分。風邪をひいたか。寝すぎたか。椰子が見えることは知っている。何故、島の老若男女は私の名前を知っているのであろう。もう皆に覚えられた。
○月○日  「そろそろいましょう」「ちょとまて」「どのくらいですか」「あと5分や」「5分たちました」「曲が終わってからや」「曲は終わりました」「俺がいいというまでや」「いいと聞こえました」「エヘヘ」「エヘヘではありません」「Mいわく・・」「Mさんがどうしたんですか」「Mと俺はどちらが差別主義者や」「それはあなたです」「馬鹿なことをいうな、Mと一緒にするな情けない」「しゃーないな」「訳分からんな、どいつもこいつも」「何が訳分からないのですか」「思想的に誰から一番影響受けたと思うんや」「それはあなたです」「ホンマか、アホかおまえは」「本当ですよ」「何を馬鹿なことを、俺はコンピュータソフトちゃうぞ」「ちゃいますね」「人を石ころみたいにゆうな、何かおもろい話ないんか?」「そんなのないですよ」「オマエは頭はいいが運が全くないのお」「そうですか」「利口やのう」「何をおっしゃいますか」「俺よりは利口やな、ところでオマエ何書いてんねん」「文字です」「蝿みたいな文字書いて何のこと書いてんねん」「いや、あの、この会話を書いてます」「何で、何でそんな固いこと書いてんねん」「だいぶ、きてますね」「オマエもしかして、俺を酔わして吐かせるつもりちゃうんか」「いやいや」「オマエの考えそうなこっちゃ」「下世話な話はやめてもっと夢のある話しましょうよ」「フン、宇宙に果てはあるんか」「その前にもっといかがですか」「ちょっと待て、先を急ぐな、夜は長い」
そうやって押し問答が永遠と続く・・・
○月○日  さて、めし、吸引、ビール、ウンチ、シャワー、バー、海、急遽結婚式に参列、パイナップル、ココヤシ、ダンサー、砂、バンガロー、イス、ディスコ、レストラン、イヤリング、褐色、犬、タガログ、サリサリストア、OK,サンセット、マッチ、服、太陽、タバコ、フロートボート、眠る、蚊帳、猫、時間、ジャングル、バンカ、スパゲティ、ESQ、よっぱらい、ハーフスパニッシュブラッド・・・
○月○日  踊っている、快楽という時間を買い捲り、今や曲だけが流れているアアアアアアアア、オンリーマイドリーム。んー、サンミゲルビールラッパのみ。足元のビールケースには空箱には空瓶が1ダース。
鏡を覗くと、ああ、もうヤバイ。目をトロンとさせなくたっていいよ。



Copyright (c) 1997-2019 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.