フィンランド→エストニア
フェリー甲板の上から太陽が昇るのを見ていた。この1週間、北極圏にいたため、太陽を見ることはなく、懐かしい感じがした。飛行機で1時間、ヘルシンキまで南下してくると、季節も気候も変わった。それでもまだ零下であるため、海から水蒸気が浮き出し、幻想的であった。ヘルシンキからバルチック海を70キロを4時間かけてエストニアの首都タリンの陸地から延びる尖塔が4,5本が見え始め、やがて港に入る。 長いイミグレーション。そのあと、両替で日本円を出すと、奥から日本円をパンチされて挟まれた1万円を持って来ても比べていた。女性銀行員は1万円がこんなに価値があるのかというような顔をしていた。 陸地に足を踏み入れ、タクシーに乗れば中心街はすぐであったが、徐々に近づく愉快のため、ゆっくり尖塔まで歩いていこうという気になり、それも直線で歩いていったため、雪でぬかるんだ道を、線路を横切り、倉庫を横切り、大通りを横切った。 スーパーマーケットに入ると、ヨーロッパよりかなり物価が安いことが分かる。石畳に入り、行き交う人が増える。女性は美人が多く、男性はイスラム顔が多い。バルチック海の向こうのフィンランド人は、背も高く機能的な顔をしており、何か美人もそうでない人も極端な人は少なく思えたのに。 数年前にソ連から独立したばかりというのに、その若々しさや活気というのはなく、町並みは、パリやミラノ、アンダルシアという感じだが、この歴史地区、懸命に残しているというより、何となく中世のまま、何となく残ってしまいました、という感じであった。 そして、行き交う人々が、珍しい東洋人に振り向く。こんな視線を感じるのは久しぶりだ。 ヨーロッパではタバコは高いが、100円(10EEK)だったので、かってみると、両切りかと思いきや、底のほうがフィルターになっていて、不思議な感じであった。