高校の時、隣の駅の近くに、新たにレコード店がオープンした。そこは店が粘土の臭いがしてるし、レコードもキツキツに入れているので、あまりいい店ではなかったのであるが、店長が何とも憎めない人で、「今、ロックですっごくいいのあるかなあ」と相談すると、「こんなバンドが結成されたんだよ」といって「エイジア」(のファーストアルバム)を出してきた。高校生なので、今よりちょっとだけお小遣いが少なかったのであるが、アルバムはやはり高く、毎月1枚か2枚か買ってしまえば、その月のお小遣いは終了なので、厳選に厳選を重ね吟味に吟味を重ね、検討に次ぐ検討をしなければならなかった。
エイジアを買ってみた私であるが、近くに「クイーン」のベストアルバムが2000円であるのも発見し、思わず購入した。友達にもテープでコピーしては、ギターも弾けないのに、放課後、ホウキでギターのマネをして、楽器音もアカペラでクイーンの合唱をした。地獄へ道連れ、プレイザゲーム、愛という名の欲望、ウイウイルロックユー、伝説のチャンピオン、アンダープレッシャー・・・止まらなくなってきた。でもそうやって踊る我々を、踊らない同級生は冷ややかな目で見ていたのは間違いない。踊る阿呆に見る阿呆同じアホでも損得関係ナシナシ。
エイジアはその後ヒットしたし、クイーンは相変わらず格好いいままであった。その後、運動場で、フレディのまねをして、体操服の首の部分を手で引っ張って伸ばして、胸を見せて喜んでいたが、体操服もそれで伸びきってしまったほろ苦い青春時代であった。勿論、まだ胸毛も生えてなかったし。
その後、大学に入り、アジアのコピー商品で1本50円や100円でテープを買いまくり、荷物の半分をテープが占めるという事態になったこともあり、金がなくなってウオークマンを売るという事態にもなった訳なのだなあ。