熊野どいらいファーマーズブログ

2008/01/15(火)06:10

みかんの味の話  Itchy

栽培情報(63)

 今日はいつもにもまして固いお話です。  ミカンの味は何で決まるか?いろんな要素があるのですが、2本柱は糖度と酸度、つまり甘さと酸っぱさです。最近は大型選果場には必ずと言っていいほど非破壊糖酸センサーがあり、すべてのミカンを1個1個測定するので「外れ」のミカンが店頭に並ぶことが少なくなっています。しかしこれは小型のものでも100万円以上する高価なもので、生産現場では1個1個計ってられませんから、農家は外観から熟度を判断して収穫をしていきます。ではその見分け方! ・・・は今度に置いといて、今回は使える道具の話をします。  屈折糖度計です。正確にはこれで計るのは「可溶性固形物濃度」というやつなのですが、ミカンの場合はほぼ全糖濃度になります。ちなみにこれは15000円で買いました。  清水で温度補正したあと、先っぽのガラス面に果汁を搾り蓋を閉めて覗くと こういうふうに表示されます。この画像だと、糖度は18ぐらい。  だいたいその月の数+1度というのが、ミカンを美味しく感じるひとつの目安、と言われています。11月上旬なら12度、1月中旬なら14.5度(2.5度じゃないよ)。  そうするとこの18度というのはものすごく美味しいはずなのですが、食べてみると確かに美味しいのですが、むしろ年末の糖度13度ぐらいのものほうが美味しく感じました。ここでもうひとつ重要になってくるのが、酸度です。  酸度の詳細については説明が難しくなるので省きますが、ミカンの場合1.0以上あると少し酸っぱく感じるようです。これは糖度みたいに手軽に計る機械が安く手に入らず、数値が必要な時は中和滴定を行います。糖度/酸度の値を「甘味比」と言い、これが味のバランスの大半を決定づけます。  ミカンは樹上に置いておくと2月ごろまでは糖度が上がり続けます。そして酸度はどんどん下がります。そのバランスがちょうど良かったのが、私にとっては年末のミカンだった、ということです。  ただ、これもひとつの目安で、ミカンの酸はほとんどがクエン酸ですが、糖のほうは大きく分けて果糖、ショ糖、ブドウ糖の3種類があり、これらの比率で甘みの感じ方が大きく変わってきます。また、甘味比だけではなくじょうのう(薄皮)の柔らかさ、果肉の食感(プチプチ感)も食味に大きく影響しますので、最後は「ベロメータ」ということになります。また個人差もありますので、一概にどれが美味しい、というのも不可能です。結局、市場出荷の場合は平均的なところを、個人直販の場合は自分の美味しいと思うあたりの味を狙って出荷します。  「長々と書いてきて結論はそれか!」と怒らないでくださいね。  ちなみに今の「高糖低酸ミカン」はジュースにすると12月のミカンより美味しく感じます。名誉回復のために。

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