薬丸岳(天使のナイフ)
2015年11月28日★★★★★横山秀夫のルパンの消息を読んだ後、同様の少年犯罪を題材にした小説を探して行きついたのがWOWOWでテレビドラマ化もされた第51回江戸川乱歩賞を受賞した話題作で少年犯罪の問題点にもろナイフを突き刺した形の問題作でもある薬丸岳のデビュー作の天使のナイフを読んでみた。生後五ヵ月の娘の目の前で妻は殺された。だが犯行に及んだ三人は十三歳の少年だったため、 罪に問われることはなかった。四年後、犯人の一人が殺され、桧山貴志は疑惑の人となる。「殺してやりたかった。でも俺は殺していない」。裁かれなかった真実と必死に向き合う男を描いた、第51回江戸川乱歩賞受賞作。(裏表紙引用)読み終えて、これがまだデビューもしていない作家を目指している素人が書いたものだとは思えない本当に久し振りに真っ白な状態で面白いしと感じたさすが江戸川乱歩賞受賞作だと思う。WOWOWのイントロダクションでこの小説の伝えたい全てが書かれていたので簡単に紹介する。14歳未満の殺人犯は刑法で保護され刑事責任能力は問われない。一方で被害者やその遺族は実名も顔も新聞などのマスコミにさらされるといい不条理がある。実際にこのような事件が身内で起きた時、犯人を赦すことができるのか。もし、自分の子供が加害者になってしまったなら更生させられるのか。 そんな両者の視点に立って描き、真の更生、贖罪について是非を問う、現代社会の問題を考させられる社会派ミステリーである。少年犯罪と少年法、多くの矛盾と問題点をテーマにして書かれた小説は沢山あるが、この作品は加害者と被害者双方の視点にたったストーリー仕立てになっており、妻を殺された夫が事件の真実を追い求めて進む展開の中、加害者や被害者の家族か抱える問題に突き当たり、中盤から後半にかけての真相に驚嘆し、とんでもない真実が解き明かされる。最後の終わりかたには人の愛や優しさも感じて読み終えられました。もう一気読み間違いなし。こんな作品を読んだら薬丸岳という作家を追いかけるしかないなと思わせる素晴らしい小説である。また、数々の有名作家を輩出した他の江戸川乱歩賞の受賞作を読んでみたいと思う。