麻見和史(水晶の鼓動)
2016年6月29日★★★★警視庁殺人分析班シリーズ、既に単行本としては7作出ているようであるが、このシリーズは主人公の如月塔子の刑事としての成長物語であるが、それだけではなく、分析班のメンバーがそれぞれ個性的で名脇役として味があり、かなり面白い。久し振りに手にとった第三作となる本作を前作と同様期待して読んでみた。殺人現場は、スプレー塗料で赤く染められた寝室 だった。如月塔子が猟奇的な事件の遺留品捜査を 始めた矢先、東京各所で連続爆破事件が起きる。 多くの捜査人員がテロ対策に割かれ、殺人事件を 担当する塔子ら特捜本部は動揺を隠せない。殺人 犯はどこまで計画していたのか―まさか。緊迫の 骨太捜査ミステリ!(裏表紙引用)まず、出だしから猟奇的に赤いスプレーで真っ赤に染められた殺人事件が発生し、その事件の直ぐあと、都内で連続爆破事件が発生する。なかなか出だしからハードな展開で期待させてくれます。3つの殺人事件とほぼ同時期に起こった連続爆破事件。誰が読んでも猟奇殺人とテロ組織が密接に関わった事件のように見せつつ、真相は裏切られたある人物による復讐劇とは誰も気が付かないだろう。塔子のトラウマなどかが絡み、失態をおかし、それをバネにして再生するストーリーは真相の謎解きと共に興味深く読み進める事が出来た。読後の感想として、本作は今まで読んだシリーズの中で一番面白かった。派手さは全くないが如月塔子のような刑事もありかなって思わせてくれる。昨年、WOWOWでテレビ化されたが、なかなか面白かったので、本作を続編にして是非みてみたい。WOWOWさんシリーズ化してくれないかなぁ。