伊坂幸太郎(ゴールデンスランバー)
2016年12月4日★★★★過去のミステリー小説を読む時にいつも参考にしているオスダメ!?で国内ランキング21位以内にランクインしている本作は2008年度山本周五郎賞受賞と本屋大賞受賞のダブル受賞している伊坂幸太郎の代表作なのだが、Amazonの評価を見ると案外酷評している人もいるため、今まで読むのを控えていたが、やはり伊坂幸太郎を語るには読んでおかないと行けない作品だと思い、文庫本で690頁と長めの本作を不安を抱きながら読んでみた。衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ?何が起こっているんだ?俺はやっていない―。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。(BOOKデータベースより)いやー長かった。出張中だったのでなかやかゆっくり読む時間もなかったことと桐野夏生の猿の見る夢を併読していたことを差し引いても読み始めてから3週間以上は長すぎました。面白かったのになんでかなぁ〜っ感じが率直な感想です。内容は首相を暗殺した犯人であるという疑いをかけられた青柳雅春が、追り来る警察から、ひたすら逃げていくという物語で、青柳にとって身に覚えがないにもかかわらず、得体の知れない大きな権力によって犯人に仕立て上げられてしまうというケネディ暗殺事件を下敷きにした物語のようです。政治的な問題や監視社会に対して警鐘を鳴らすというのも、この作品の大きなテーマのようで逃亡するスリリングや仲間との関わり合いなど面白さがあるのですが、結局最後まで犯人や犯人がなぜ一般人の主人公に罪を被せたのかがわからないままだったのが、不満が残ります。最後は主人公の無実を証明して欲しかったと思うのは私だけではないでしょう。