藤原伊織(名残り火 てのひらの闇Ⅱ)
2023年10月28日★★★★先々週、藤原伊織の作品の「てのひらの闇」を久々に読んでみたがハードボイルドタッチで読後感も良かったので、すぐ続編の本作を読むつもりでしたが、嫁さんのインフルエンザ感染や自分のもろもろの事情から少し時間が空いたが、藤原伊織の最後に遺した長編小説である本作「名残り火 てのひらの闇Ⅱ」を続けて読んでみた。飲料メーカーの宣伝部課長だった堀江の元同僚で親友の柿島が、夜の街中で集団暴行を受け死んだ。柿島の死に納得がいかない堀江は詳細を調べるうち、事件そのものに疑問を覚える。これは単なる“オヤジ狩り”ではなく、背景には柿島が最後に在籍した流通業界が絡んでいるのではないか―。著者最後の長篇。(BOOKデータベースより)主人公は前作と同じで堀江雅之。物語は親友である柿島隆志が暴漢に襲われ、殺害されたところから始まる。柿島がなぜ殺されなければならなかったのか、堀江は真相を解明するために独自に調査を始める。優秀な協力者たちも絡んで物語が進んで行くが、柿島の妻奈穂子の過去から謎が徐々に解明されていく。物語に登場する一癖も二癖もある刑事の関根、サンショーフーズ社長のバイク好きの三上、前作に引き続き元部下の大原、堀江の行きつけの店のオーナーのナミちゃんなど登場人物の魅力が随所に引き出す著者の筆力を感じながら柿島の妻奈穂子からの手紙とクライマックスには脱帽しました。未読の本棚に残っている「ひまわりの祝祭」も近いうちに読んでみようと思う。