米沢穂信(可燃物)
2024年7月30日★★★図書館から借りた二冊を読んだあと、これまた予約していた2023年ミステリーランキング三冠(「このミステリーがすごい」、「ミステリが読みたい」、「週刊文春ミステリーベスト10」)達成となった米澤穂信の「可燃物」が確保出来たと連絡があったので、米澤穂信の作品としては2014年度の直木賞候補にもなり、本作同様ミステリーランキング三冠を達成した「満願」以来、実に9年半振りに読んでみることにした。余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の周りの雪は踏み荒らされておらず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って〝刺殺〟したのか?(「崖の下」)榛名山麓の〈きすげ回廊〉で右上腕が発見されたことを皮切りに明らかになったばらばら遺体遺棄事件。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。なぜ、犯人は死体を切り刻んだのか? (「命の恩」)太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが……(「可燃物」)連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。(Amazon内容紹介より)本作は5編の全作品とも群馬県警捜査一課葛警部を主人公にした警察ミステリーの短編集である。それぞれで扱う事件はスキー場での遭難、バラバラ殺人、連続放火、人質立てこもり、交通事故など警察ミステリーによくある題材を集めたもので、感想としては、かなり細部まで丁寧に描かれていると感じるが、派手さや、盛り上がるようなものがないので、個人的には地味な小説かなと感じる。全作品通して、事件の細部に見られるちょっとした違和感。この違和感から真相に迫る葛警部の推理が読みどころでしょう。私には絶対わかりません(笑)。