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テーマ:ミステリはお好き?(1645)
カテゴリ:読後レビュー(横山秀夫)
2015年11月23日 ★★★★ ずっと気になっていた横山秀夫の作家としとの原点であるサントリーミステリー大賞の佳作となった本作を読んでみた。改稿後記に記されている通り、本作ルパンの消息は横山秀夫が当時新聞記者を辞めるきっかけとなった人生転機の一打であり、また推理小説作家としてデビューしそこねた因縁浅からぬ処女作でもある。また、出版に向けての改稿作業ではストーリーや登場人物を当時のままの原形を崩さず作品全体に物語の膨らみを持たせる形で加筆に苦心されたようである。 十五年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人―。警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。当時、期末テスト奪取を計画した高校生三人が校舎内に忍び込んでいた。捜査陣が二つの事件の結び付きを辿っていくと、戦後最大の謎である三億円事件までもが絡んでくるのだっ た。時効まで二十四時間、事件は解明できるのか(裏表紙引用) 読後の感想としては、改稿作業を施されているとしても、これが佳作の作品なのかと本当に疑いたくなるほど良くできた小説である。内容も時効間近の高校女子教諭の自殺が実は自殺を偽装した殺人だったとのたれこみから始まり、それに昭和の大事件「3億円強奪事件」が絡んでいるというトンデモない真相に、高校の同級生3名 の15年後の証言を交えて事件の解明が進むが予測もしない展開や最後にどんでん 返しあり、息をつかせぬ展開で本当に楽しむことが出来た秀作である。64以来新作が発表されないのが気になるが、まだまだ未読の作品が何冊か残っているので時間をかけて読んでみたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.02.08 13:34:52
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