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2016.01.19
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2016年1月19日
★★★★
年末年始がバタバタで全く小説を読むことが出来ず、正月も終わり、なかなか読む気になれずにこのまま小説を読まない昔の生活に戻ってしまうのではないかと思うほど、長く読まない日が続いたが、読売新聞の書評欄を眺めているうちにまたうずうずと読みたい気持ちがわいてきて、まず短編集からと思い手に取ったのが、短編を書かせれば右に出るものはいないと言われている横山秀夫の渾身のミステリ短編集の本作である。

刑事になるという夢破れ、留置管理係として職業人生を閉じようとしている、近藤。彼が証拠不十分で釈放された男を追う理由とは(表題作)。自叙伝執筆を請け負ったライター。家裁調停委員を務める主婦。県警ホームページを管理する警部。地方紙整理部に身を置く元記者。県知事の知恵袋を自任する秘書。あなたの隣人たちの暮らしに楔のごとく打ち込まれた謎。(裏表紙引用)

やはり、横山秀夫の短編は読みやすく面白い。全部で6編ある短編それぞれの主人公が異なる肩書を持ち、順番にあげてみると警察事務職員、フリーライター、家裁調停委員、県警警務部情報管理課のホームページ管理責任者、地方紙の編集局整理部内勤社員、知事公室秘書課の課長と全く共通点の無い主人公が様々な難題に遭遇していくというパターンである。また、各短編とも心理描写が絶妙で切れ味も鋭く、読み応え十分に仕上がっている。その中で失踪事件の真相を追う定年間近のベテラン看守の眼が真実を暴くという表題作の「看守眼」と県知事を支える裏方の秘書課員の面々を綴ったラストの「秘書課の男」が特に楽しめた。横山秀夫の小説は、ある共通のテーマを扱った小説が多いが、こんな小説もありだなと思わせくれた一冊だ。完全に小説読み読み状態に戻ったので、次は長編を読んでみようかと思う。





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最終更新日  2025.02.08 12:41:56
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