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2025.06.15
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2025年6月15日
★★★
先月末に読んだ道尾秀介の「水の柩」以来、嫁さんと旅行に出掛けたりして、少し読書から離れたが、今月最初の読書は何にするかなと、未読の本棚を眺めるていると、新潮文庫の伊坂幸太郎の作品を見て確か、先月順に読もうと思ったのを思いだし、前回読んだデビュー作品の「オーデュボンの祈り」に続いてデビュー初期の作品である本作を読んでみる事にした。

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場―。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。 (BOOKデータベースより)

本作は各章の始めに必ず成金画廊の戸田と彼の付人で新人画家の志保子との会話から始まる。その後、完璧主義の泥棒の黒澤、40社連続不採用の失業中の豊田、新興宗教の教祖に惹かれる青年の河原崎、サッカー選手と不倫中の女性カウンセラー京子。これらで物語が進行していく。
物語はあくまで独立しているが、微妙に交錯しながら、それぞれの物語に脇役として顔を出し、会話を交わしたりすることで相手の物語に少なからず影響を与える微妙な連鎖が面白い。
また、これら物語は同時進行ではなく、物語の繋がりも最初はよくわからないのだが、読み進むうちにだんだん関連性が見えてくる。
四つの物語の中ではリストラされて失業中の豊田の物語が面白い。彼が街で拾った老犬と何となく通じ合い、老犬が彼の人生を左右する存在になっていく。彼と老犬がこの先どうなるのかが非常に気になってしまう。
伊坂先生、是非後日談を出してくれませんかね…。





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最終更新日  2025.06.16 00:10:26
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