横山秀夫(影踏み)
2025年12月27日★★★★今年の最低目標であった年間24冊は既にクリアしていたが、もう一つの目標だった年間24作品も先日読んだ本屋大賞受賞作の「カフネ」で到達した中、年末迄まだ10日間ほどあったので忙しい合間に読み切れる作品をと未読の本棚を眺めていると大沢在昌、今野敏、誉田哲也、佐々木譲と並んで警察小説の書き手であり大好きな作家でもある横山秀夫の連作短編集の「影踏み」が目に留まり、400頁弱と短めの作品でもあったので、横山秀夫の作品としては2022年6月に読んだ「震度0」以来、実に3年半振りに読んでみることにした。深夜の稲村家。女は夫に火を放とうとしている。忍び込みのプロ・真壁修一は侵入した夫婦の寝室で殺意を感じた―。直後に逮捕された真壁は、二年後、刑務所を出所してすぐ、稲村家の秘密を調べ始めた。だが、夫婦は離婚、事件は何も起こっていなかった。思い過ごしだったのか?母に焼き殺された弟の無念を重ね、真壁は女の行方を執拗に追った…。(「消息」より) (BOOKデータベースより)本作はいつもの警察小説とは異なり、加害者側を描いた新たな路線に挑んだ作品である。主人公の真壁修一は深夜家人が寝静まった住居に侵入する「ノビ」を専門とする泥棒で通称「ノビカベ」という。窃盗罪での2年の服役を終え、出所してきた真壁だったが、自分が捕まる切っ掛けとなった一家の異変に不信感を抱き、収監中に推理した仮説を確かめるために動き始める…。一番のユニークなところは死んだ双子の弟の啓二が真壁の頭の中に住み着いていて、要所要所で真壁と会話を交わすというかなり特異な設定で物語が展開されていく。また、双子が共に愛した女性を巡るストーリーも読みどころである。7つの短編が密接に繋がり、それぞれにテーマが設定されたバラエティに富んだ作品で飽きさせずにあっという間に読み切れました。双子の弟の啓二とのラストは感動ものです。