道尾秀介(水の柩)
2025年5月30日★★★薬丸岳の「逃走」を読んだ後、今月まだ10日ほどあるのであと1冊は読めるなと、さぁ次は何を読もうかと未読の本棚を眺めていると、道尾秀介の「水の柩」が目に入り、前に読んだ作品は何だったかと調べてみると代表作の「ソロモンの犬」だったのを思い出し、じゃあ次はこれに決めたと本棚から取り出して、約2年2ヶ月振りに道尾秀介の作品を読んでみることにした。「タイムカプセルの手紙、いっしょに取り替えない?」。中二の逸夫が同級生から頼まれたこと。大切な人達へ、少年は何ができるのか。 平凡な毎日を憂う逸夫は文化祭をきっかけに同級生の敦子と言葉を交わすようになる。タイムカプセルの手紙を取り替えたいという彼女の頼みには秘めた真意があった。同じ頃、逸夫は祖母が五十年前にダムの底に沈めた「罪」の真実を知ってしまう。それぞれの「嘘」が、祖母と敦子の過去と未来を繋いでいく。 (BOOKデータベースより)本作は老舗旅館の長男として生まれた思春期の中学2年生の逸夫の成長物語である。文化祭をきっかけに言葉を交わすようになった同級生で母子家庭の敦子と逸夫の祖母のいくの3人が主軸に物語は進んで行く。敦子は同級生にずっといじめられていたが、ある日、逸夫にタイムカプセルを掘りおこしたいと協力を懇願する。また、いくは逸夫の両親も知らない秘密をずっと抱えて生きてきた。逸夫なりに考えた解決策とは?呆れるような行動に思えるが、心底大切な人への思いが伝わってくる。いくの過去と敦子のいじめを完全に消すことはできなくても、これからをやり直すことはできると信じた行動だったと思いたい。本作も良いが、やっぱり道尾秀介はミステリーが似合っていると思うのは私だけ?