東野圭吾(手紙)
2026年7月23日★★★★折原一の「倒錯のロンド」を読んだ後、ここ数日暑さが更に増して満員の通勤電車で落ち着いて読書がしにくい状況になり、自宅でテレワークをする機会があったので、休憩時間に何か読もうかなと本棚を眺めていると、随分前に映画化されているのを知り、まず小説からと思い買った東野圭吾と代表作である「手紙」が読んでいなかったことを思い出し、クーラーのかかった部屋でじっくり読んで見ることにした。強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く…。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。(BOOKデータベースより)本作はタイトル通り、手紙をキーワードにした作品です。強盗殺人の罪で服役した兄の剛志と残された弟の直貴。両親は既に他界しているため、直貴には頼る身寄りがいない。常に殺人者の弟というレッテルがつきまとう人生が始まるなか、服役中の兄の剛志から毎月手紙が届けられるが、直貴は疎ましさを超えて憎しみを覚えていく。兄の存在が幾度となく直貴の人生の道を閉ざし、夢を奪って行く。日々知らされる犯罪のニュースだが多くの人にとっては他人事である。もし、自分の周りに身内に犯罪者を持つ人がいたらどうだろう。それは他人事ではすまされなくなり、おそらく同情しつつも距離を置くだろう。そんな現実を本作は突きつけてくる。色々書きたい事はあるが、手紙を通じて交錯する兄弟の思いが込められた東野圭吾の力作を是非皆さんにも読んでほしい。ラストは感動もので、映像化されたものも探してみてみたい。