東野圭吾(虹を操る少年)
2025年9月4日★★★先月、森博嗣の超長編であるS&Mシリーズの「数奇にして模型」を読んだあと少し間が空いたが、次は少し短めの長編をと本棚を眺めて取り出したのは東野圭吾の初期の作品でずっと気になっていた本作を期待して読んで見ることにした。「光にメロディがあるの?」「あるさ。みんな、そのことに気づいていないだけさ」。“光”を“演奏”することでメッセージを発信する天才高校生・光瑠。彼の「光楽」に、感応し集う若者たち。しかし、その力の大きさを知った大人たちの魔の手が忍び寄る。新次元コミュニケーションをめぐる傑作長編ミステリ。 (BOOKデータベースより)本作の主人公白河光瑠は、色に関する特異な能力を持ち、幼いころからあらゆる色をそっくりに再現する能力があり、色を一目見ただけで、瞬時に色の配合比がわかるらしい。彼は中学、高校と成長するなかで、ひそかに光の音楽とも言うべき「光楽」を生み出していた。「光楽」とは、音楽と光の合成であり、「光楽」を目にしたものは誰もが心が安ぎ、若者たちはその光に吸い寄せられていく。その「光楽」の影響力に恐れをなす大人たちによって光瑠に魔の手を伸びるが、彼に集う仲間たちによって、その光を消すことは誰にもできない。クライマックスに呆気にとられてしまい、光瑠の最終目標が果たしてどこにあったのかが分からないままで終わってしまったのが少し残念でした…。