「ひいらぎじいさんとこすずめ」その4
こうして また 時が経ちました。 こすずめくんはある日 ひいらぎくんの根元に横たわると目を閉じました。 そして めざめることはありませんでした。 「こすずめくん こすずめくん どうしたの?」 心配して ひいらぎくんは呼びかけます。 でも 返事はありません。 何度も 何度も 呼びかけたあと、 ひいらぎくんは わかったのです。 そして 涙のように ヒイラギモクセイの木の葉をこすずめくんに そっと落としてあげました。 こずずめくんがみえなくなるほど 落としたあと、小声でいいました。 「いままでありがとう こすずめくん」 それから また 沢山の時間が経ちました。 いつの頃か ひいらぎくんのところにすずめたちが集まるように なりました。 すずめたちが 眠った頃 ひいらぎくんは こすずめくんにいつもそっと 話しかけます。 答えてはくれないけれど ひいらぎくんは こすずめくんが いつもきいてくれていると知っています。 この頃 ひいらぎくんの声がひいらぎじいさんに似てきました。 それを 知っているのは こすずめくんとそらのお星様たちだけです。 人里離れた山のなか 日当たりのいい場所に 大きなひいらぎもくせいは立っています。 そばに行ってみて下さい。 すずめたちの声で かしましいでしょ。 そう いまその木は すずめたちにひいらぎじいさんと 呼ばれているそうです。 山に行ったらおおきなひいらぎもくせいをさがしてみてください。 きっとあなたもひいらぎじいさんに 会えますよ。作者より ひいらぎもくせいをを知っていますか? ヒイラギににた葉っぱの常緑の木です。 ヒイラギのようなはが密に生えた木なので、タカやカラスは近づけず、すずめのお宿に最適です。 作者の近所にも大きな木があり すずめのお宿になっています。 近くに行くとたくさんのすずめさんの声がきこえてきますよ。