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2011年12月23日
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テーマ:銀魂(1187)


※「銀魂」二次創作です。


【Why don’t you give love on X’mas day?】<四>


ふと辺りを見回すと、近藤とお妙がいなくなっている事に沖田は気がついた。まさか近藤さんは姉さんを連れ出す事に成功したのだろうか。そんな考えが一瞬頭をよぎったものの、そんな訳は無いとすぐに思い直した。大方厠か何かだろうと考えて、沖田は肉の塊を口の中に放り込んだ。
机での争いは一旦決着し、今は皆それぞれ勝ち取った食料を食べている。とは言っても先程までの争いの間に食料のほとんどは消え去ったのだが。今は周囲に飛び散った残飯を処理している状況に過ぎない。それでも這い回って食べている万事屋一家を根っからの貧乏性だと思いつつ、誰も手を出さなかった野菜類に黄色い物体をかけて食べている土方が目に入ったので
「土方さん」
と、そう呼んで頭を上げた土方の手元の黄色い物体の上に拾い集めたゴミの混じった残飯をどさどさ落としてみた。
「何してやがるテメェ」
「犬のエサを量増ししてあげただけでさァ」
予想通りと言えば予想通りの反応をして沖田の襟ぐりを掴んできた土方に、沖田はいい気味だと思いながらも別段楽しい訳でも無く、目の前で怒鳴ったり悪態をついたりしている土方をから目を離してみると、机の反対側に楊枝で歯の間を掃除している銀時と食器をまとめている新八の更に奥で、膨れた腹を抱えて横になっている神楽が見えた。あれを女と言っていいのだろうかとそんな事を考えていると神楽はやがて立ち上がり
「銀ちゃん、トイレ行ってくるアル」
「勝手に行って来いや」
「私がいない間にケーキ食べちゃ駄目アルヨ!」
「大丈夫だよ神楽ちゃん。僕が銀さんのこと見張っておくから」
という会話をした後、部屋の外へと出て行った。
数分後、神楽が手の滴を振り払いながら元いた部屋へと戻る道すがら廊下の途中の壁に沖田がよりかかっていた。神楽が特に気にする事も無く前を通り過ぎようとすると
「オイ」
と声をかけられたので、そちらを向くと沖田が話し始めた。
「お前、俺の事疑ってるんじゃなかったのか?」
「・・・勿論疑ってるアル」
「それにしちゃぁ随分と余裕じゃねェか」
「だって今は銀ちゃんも新八もいる・・・」
神楽は其処まで言ったところで青ざめた。屯所に来てからというもの、料理を食べるのに精一杯で沖田から目を離してしまっていた。寧ろ、途中からは銀時と食料を奪い合っていた。その後はごろごろしていた。万事屋の誰もこの男を見張っていなかったのではないかと思った。
「お前、まさか・・・ッ!もう既に・・・!!!」
沈黙を継続させた沖田に神楽は何かの確信を得た。コイツは確実に何かをした。もうあのケーキは食べられない。その瞬間神楽の胸に湧き上がったのは沖田に対する恨みよりも自責の念であった。目の前の享楽に心奪われ本命の警護を疎かにするなど、本末転倒である。吟味に吟味を重ねて手に入れた、普段なら絶対に食べられない高級洋菓子。店頭で包んで貰う所から屯所の冷蔵庫に入れるまで絶対にコイツの手には触れさせなかったというのに。そうして絶望の相を見せていた神楽に、沖田は一つの問いを投げた。
「お前、俺が何もしていないって言ったら、信じるか?」
神楽は視線を床から沖田の顔に移した。一体何を言っているのだろうこの男は。からかわれているのだろうか。しかし、沖田の顔は変わらぬ無表情のままで、神楽には本気で何を考えているのか分からず、得体の知れない不気味さを覚えた。
「信じるわけ無いアル」
「これでもか?」
神楽の迷い無き答えに沖田の右手が差し出された。神楽は気がついていなかったのだが、どうやら最初から持っていたようでその右手には何やら大きめの紙袋が握られていた。
「・・・何アルか」
そう言って神楽は若干袋の前で身構えたが、どうやら中身を見ろという事らしい。一体何を見せようと言うのだろうか。受け取る前に紙袋の中を上から遠巻きに覗いてみると赤と白のチェック柄の包みが見えて、神楽は想像を膨らませた。あの可愛らしい袋で誤魔化しておいて、中から虫の大群が出てきたりするのではないか。しかしここで受け取るのを拒んだら後で不意をつかれるのではないかと考え、細心の注意を払いながらその紙袋を受け取り中から包みをだし、ふんわりと結ばれたリボンを解きにかかる。袋は大きさに反してとても軽く、うごめいているという訳でも無い。そうして開いたその先にあったものは、神楽の想像した何とも違っていた。
「・・・何アルかコレ」
「見りゃわかんだろィ」
神楽は袋の中のそれを手の中に持って硬直していた。真っ白で長い耳があって、ふわふわの手触りだった。顔といい大きさといい、神楽が幼い頃実家で飼っていた定春1号によく似ていた。違う所といえば、定春1号は生き物で、今手にあるものは作り物だという事くらいか。だがやはり要領を得ない。これを自分に渡して一体どうしようというのか。
「ッ!!まさかお前、この中に更に何か仕込んで・・・!?」
「ちげーっつってんだろーが!いい加減信じやがれィ!!」
「じゃぁ何で・・・」
「いいから受け取っておけや可愛くねーな」
本当に何もしていないなどという事はこの男に限ってあり得ないという事を神楽はよく分かっていた。絶対に何か裏があるに決まっているので、ここで負ける訳にはいかないと思いつつ、神楽は体中に走った寒気と鳥肌を抑えることができずに、元いた部屋に向かって全速力で走った。
「銀ちゃーん!ドSが!ドSがァ!!」
神楽と入れ違いで部屋に戻ってきていた妙を交えて新八と3人で話していたところ、襖を蹴破るようにして部屋に飛び込んできた神楽に銀時は立ち上がった。
「どーした神楽」
銀時の腰にしがみついてきた神楽はうろたえた様子で騒いだ。
「何かアイツ気持ち悪いネ!何か渡してきたネ!どーいう事アルか!?」
「渡された?」
「もしかして、コレの事?」
新八の問いに、座っていた妙は目の前に現れた銀時の体に巻かている神楽の手の先に握られていたそれを見て言った。
「そう、これ・・・!!」
と神楽が言いかけて銀時と新八にそれを見せようとした瞬間いつの間にやってきていたのか、沖田が神楽の手に握られていたそれを弾き飛ばし、それはたまたま換気の為に開けていた障子の向こうへと飛び出し、屯所の庭の暗がりの中へと消えた。
「おまっ・・・、何考えてんでさァ!!!!」
「お前が変な事してくるからいけないネ!何アルかあのぬいぐ・・・」
「わーーーーーーーーーーー!!!」
沖田は大声でそう叫ぶと同時に神楽の口を鷲掴みにして塞いだ。それと同時に庭へと飛んで行った何かを拾っておいてあげようと純粋な善意から動いた土方に向かって片手で脇差を投げ飛ばし、それは土方の髪を数本切り落として壁に刺さった。
「あっぶねーな何すんだテメェ!!!」
「うるせェよ土方ァ!余計な真似してんじゃねェ!!」
と、沖田が珍しく声を荒げている間に神楽は口を覆われていた手に思い切り噛み付き、沖田は痛さの余り咄嗟に手を離すと、すかさず振り上げられた神楽の拳をかわして身を屈めた。
「どうしたんだ総悟のやつ」
近藤がそう呟いた横で銀時は二人の戦闘を見ながらふと思い至る。
「何?え?もしかして沖田くん何か買ってくれたりしちゃった訳?マジで?」
銀時は口を覆いながらそう言ったものの、抑えきれない様に空気が指の間から吹き出しにやにやと心底面白そうに自分を見ていることに気がついた沖田は神楽の攻撃をかわしながら言い返す。
「それは、旦那が・・・!!!」
「え?何?何の話?」
「俺?俺が何よ?何か言ったっけ俺?」
何て腹の立つ顔をしているのだろう。今すぐ状況を理解していない近藤の横にあるあの顔面を、砲門に詰めて何処か遠くへ飛ばしてやりたいと沖田は思った。そんな事を考えて気が逸れた所為か、神楽の蹴りをもろに頭に食らって部屋の隅へと吹っ飛んだ沖田の様子を見て、銀時は神楽に近寄った。
「で、何貰ったんだ神楽、教えろよ」
「マジで気持ち悪いネ。えっと・・・」
神楽が身振り手振りを交えながら、今度は近藤や土方も含めて全員で庭先の方を覗き込み始めた所を攻撃からようやく立ち上がった沖田は後ろから突っ込んで神楽だけを脇に抱えて外に飛び出し、例のものを取ってそのまま逃げようとしたところ、後ろから銀時と土方にがっしりと捕まえられてしまった。
「オイオイ、うちの神楽ちゃん何処に連れて行こうっての~?」
「いけないなァ人様の娘さんに嫌がらせしちゃぁ。しっかり詫びねェと総悟ォ・・・」
こんな時ばっかり相性良くなりやがってと沖田は心の中で思った。普段の鬱憤をはらすチャンスとでも言うつもりか。まるで水を得た魚のように活き活きとし始めた土方に、沖田はこの窮地を乗り切る方法が思いつかなくて目をぐるぐると回した。









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最終更新日  2011年12月23日 07時09分00秒
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