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読書日記

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2005年12月16日
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カテゴリ:小話
 自分は至って正直者である。
とあるお客さんに蛇口から水が垂れるので直して欲しいとの依頼が来た。
材料費は60円、作業時間5分。良く知っている人なので、
「材料費いくら?」
「50円です。」
「いくら払えばいいの?」
「50円でいいです…」
 しばらくして、お客さんが大笑いし、3000円とビールを渡してくれた。
上のようなお客さんばかりではないので、商売で儲けるには建前が必要、というもう一人の自分と葛藤しつつ上のような言葉が出てしまう。
 今の時代で一番売れている物は付加価値のあるものなのだが、そのような商売を昔から行っているのが骨董屋さんである。どうも良く分からない掛け軸等が10万円だったり、薄汚い壺が50万円の値札が付いていたりする。自分の将来の夢としては長火鉢に火を起こし、浪曲なんぞを聞きながら火で干物を炙り日本酒をやっつけるという途方も無い野望があるので、骨董品屋さんには一人でたまに行く。
 そこの主人の尋ねると、やはり蔵出しという行事があるらしく業者間と一般のマニアの集まりで、これこれの何某がどうのとのたくりあって買ってくるそうな。鴨になるような人というのは本だけの生半可な知識を頼りに買う人だそうで、二言でも誉めれば持って行ってくれる。のである!そのお店で観察していたらやはりその通りで、話を立ち聞きしていると投資の代わりにそのお客さんは買って行くのだが、あまりにガラクタを売りつけている店の主人も心が痛むので、時々サービスとして本物と思っている品を持たせると言っていた。
 そのお客さんに不幸があり、遺族から別の骨董屋さんに鑑定してもらったところ、遣ったお金の半分は換金出来たのだが、色々といさかいがたえなくなった。骨董屋さんもその話を聞き、
「全部贋物でよかったのかなぁ…」
と言葉を自分の残して、自責の念にかられてお店を閉めてしまった。





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最終更新日  2005年12月16日 20時25分10秒
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