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かんがるー日和の読書録

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2007.10.21
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カテゴリ:歴史小説



≪あらすじ≫

戦国期、2人の天才がぶつかり合った。

秀吉と利休、人たらしの天才と茶の湯の天才。

彼らは数々の艱難辛苦を共に手を取り合い歩んできたはずだった。

それがなぜ利休は、秀吉から切腹を命じられることになったのか?

本書は日本歴史上の謎のひとつ、利休の死の真相を従来言われている説からではなく、

2人の心の葛藤から導き出すことに成功した決定的な著作である。





久しぶりの歴史物小説。

『信長の棺』、『秀吉の枷』、『明智左馬助の恋』と加藤廣氏の本能寺三部作など

最近では歴史の新説を書いた本がたまらなく面白い。

この本もその一つ。


この本の場合、さらに興味深い点がある。

著者が何と現職の“ドクター”なのである。


出版元の幻冬舎ルネッサンスという出版社は

個人の自費出版をプロデュースしていて

一般の人が持ってきた原稿を本にしてくれるらしい。



著者がこの小説を書くきっかけは

「多忙な医局時代、歴史小説を読むことが楽しみであったが、

秀吉と利休の関係に疑問を感じていた。」


からだそうだ。


いいねぇ。

かなりマニアな感じがするねぇ。


私自身も以前から秀吉と利休の関係には

納得のできる説明がされてこなかった気がしている。


“秀吉の作った黄金の茶室について、利休はどのように思っていたのか?”

→派手好きで成金趣味の秀吉と、何も削るものがないところまで無駄を省いて、

緊張感を作り出すという利休の趣味はまったく異なっている。


“あれほど信頼していた利休に、なぜ秀吉は切腹を命じたのか?”

→安価の茶器類を高額で売り、私腹を肥やしたなどという説があるが

どうも利休の人間像と合致していない。


こんな疑問を解決してもらえる事を期待して読んでみました。


小説の書き出しは、利休の切腹直前のシーンから始まる。

そこで過去の秀吉との関係を回想する利休。

さまざまな行き違いや、趣味の違いがある中でもお互いがお互いを認めている関係。

趣味は異なるが決して相手のことは嫌いではない。

秀吉も「利休ならどうするだろう?」

自分とは意見の異なる利休にあれやこれやと意見を求めてくる。

しかし、秀吉の天下統一がほぼ完了した後、

「すべてを自分の意のままにしたい」

という欲望が秀吉の心に出てきたことで、

利休との対立が始まる。


こういう対立って現代社会の組織の中でもありうることだよな。


多少、文書に素人臭さが残る感じはありましたが、

著者の「秀吉と利休の関係」に対する思いは十分伝わってきました。


「私も将来は自説を歴史小説として出版できたらいいな」


そんな妄想とともに読んでいました。



この本のオススメ度 ★★★★☆





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最終更新日  2007.10.21 12:14:12
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