カテゴリ:学習理論
●親は「楽チンで<9才の壁>を越えた」と思っていながら、子供は「ドップリと<9才の落とし穴>に落ちている」場合がある。もちろん親子でそんなことになっているとは微塵も思っていない。「絵図なんて描かなくても」あるいは「参考程度に描けば答えが分かるからいらないんじゃない?」なんてことを本気で思っている人達である。例外なく<ご愁傷様>である。もう、永久に9才の壁は越えられない。落とし穴から壁を越えるのは不可能だからだ。可能でも気付いたときには12才の思考の臨界期を越えているだろう。そこからの巻き返しはできない。
●9才前後で人間は具象思考から抽象思考に移行できるだけのデータベースを構築します。ですから、この時期には抽象思考が出来るようになります。しかしながら、ここには落とし穴が待ちかまえています。この年齢での言葉や理論(理屈)で考えることが出来る思考は非常に限られています。しかしながら、思考回路網は最長でも12才までには作り上げられ、以降は刈り込みが始まります。すると、言葉や理論(理屈)を使わないで高度な思考を幼児・児童期に可能にするための方法が思考力養成の鍵であることが分かります。幼児・児童期の言葉や理論(理屈)はどんなに駆使して使いこなせたとしても直ぐに限界になってしまうからです。 ●言葉や理論(理屈)で思考していた子供達は、複雑な課題を前にすると「もう考えることが出来ない・分からない」と思ってしまいます。ところが、常に明確な視覚イメージで(自分で描いた絵図を操作して)考えていると、この限界は感じることさえありません。それどころか、幼児・児童期であれば頭が柔軟な分、大人でも考えつかないような思考(視覚イメージ操作)を簡単にします。これが、本当の思考力養成です。視考力を活用した思考力養成が本格的に始動するのです。この方法での幼児・児童期の思考力養成は思考回路網作成そのものになりますし、大人でも切り口の多様化やヒラメキのキッカケになります。 ●ところが、簡単な抽象思考が出来るようになると、この最も大切な視考力を活用した思考力養成を止めてしまう人(視考力を知らない人は論外)が出てくるのです。これが<9才の落とし穴>です。抽象思考が出来るようになったから9才の壁を越えたと思い込んでしまうのです。残念ながら、抽象思考は誰もが出来るようになるんです。そして、その時期が<9才の壁>の前にたどり着いたというだけのことで越えてはいないのです。抽象思考が出来るようになっても、視考力養成に最も効果のある具象思考(絵図で考える:もちろん本当の物を使ってもいいのですが大変手間がかかります)を続けることが<9才の壁>を越える唯一の道なのです。そして、思考回路網の刈り込みが始まる時まで視覚イメージの再現・操作を通して(視考力を活用して)思考回路作成を続けることが<9才の壁>を越えることなのです。自動的に誰もが移行できる<具象思考→抽象思考>をワザワザ<壁>とは呼びません。<専門家>でも勘違いしている人がいるようなので書いておきます。 …………………………………………………………………………………………… ●デビュー作・「絶対学力」のサブタイトルを思い出してほしい。<「9歳の壁」をどう突破していくか?>です。...<どう突破>するかが、問題なのです。誰でも普通に<突破>するだけならできるんです。<どう>突破するのか。...そうです。絶対学力で突破するんです。...ね。最低の方法で突破するのか最高の方法で突破するのか。選択権は保護者にあるんです。
最終更新日
2006年12月06日 11時49分26秒
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