まあぼの交差点

2007/01/18(木)21:25

有限と微小のパン(森博嗣)-その2-

森博嗣(54)

S&Mシリーズの最終巻森博嗣の「有限と微小のパン」について,前回の「その1(→記事はこちら)」の続きというか,雑感。 トリックなどのネタバレは,避けていますが,シリーズの展開など,内容的にはネタバレになってしまうので,これから読む予定の方はパスしたほうが安全です。 国枝先生は「あいかわらず」ではあるのだが,今回長崎での別れ際に犀川は彼女が「良いお年を」と口にすることに40パーセントの期待をかけていた。 予想通り何もいわずに去っていくのだが,のちほど那古野に戻った犀川は電話口で彼女の「良いお年を」を耳にすることになる。 常識人として犀川と国枝を比べた場合,彼女にやや軍配か……。 ところで,彼女の発想法はとことんむだを省いていくことからくる。ということで,ストーリーの中の彼女の役割が,事件に関する「最大のヒントメーカー」なのではないかと,最近思い始めた。 それぞれの作品で具体的にどことの指摘はここではできないが,今回も彼女が「良い意見だ」といった内容が,ユーロパークでの事件の真相になっていた。 発想といえば,萌絵の発想は「飛ぶ」ところが犀川から高く評価されているのだが,四季博士に似せて作ったロボットのデボラをリセットする場面でその真価を発揮。 いくつかのパスワードを試したのち「パスワードなんて,ありません」をパスワードだと見抜くとは! お見事。 その萌絵と犀川の関係はかなり落ち着いてきたみたいで,ゲーム「クライテリオン」の謎を解明したあとの「何のために私(萌絵)がこの世にいるのか」のやりとりはおもしろかった。 ところで,犀川と四季の関係はどうなっているのだろう? 「F」では四季が大学にいる犀川を訪ねたし,今回はVRで一晩中一緒にいた翌々日に犀川が「現実」の四季に会いに行く。しかもくるのが遅くて「幻滅」と四季が微笑むのだ。うう~ん! 関係といえば,浜中,金子,反町,牧野も微妙に進展。彼らに関しては,「御勝手にどうぞ!」くらいの感想でよいか(笑) 最後にダーク・ルームについて。 この発想は非常におもしろかった。構造を知ってから,本の冒頭を読み返し,「なるほどそういうことか」と改めて感動してしまった。 また,島田文子が4つと認識していた部屋が,いつのまにか7つ(長崎の6と横浜の1)になっていたというのも,ストーリーの展開上とてもおもしろかった。 S&Mシリーズ前作「数奇にして模型」については,→こちらから,シリーズ第1作目の「すべてがFになる」については,→こちらからお読みください。 時代・場所,登場人物をフリーページの森博嗣メモ(有限と微小のパン)に簡単にまとめてありますので,ごらんください。 森博嗣の他作品についての日記は,フリーページ 読了本(日本) (森博嗣)からごらんください。 楽天ブックス 有限と微小のパン     森博嗣

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る