2007/01/07(日)00:50
月の裏側(恩田陸)
恩田陸の「月の裏側」(2000)を読んだ。
簡単にまとめると,九州の水郷都市箭納倉(やなくら)を訪れた塚崎多聞の冒険と体験の話といってもいいのだろうが,「何ともまあ,不思議な世界に連れて行ってもらったものだ」というのが感想。
舞台となる箭納倉が柳川をモデルにしているということはすぐわかるのだが,箭納倉出身の大詩人を桐山白秋と,わざわざこちらも名前を変えていることに微笑えた。
老女の失踪事件をきっかけに大学時代の恩師の三隅協一郎から呼ばれたレコード会社のプロデューサーである多聞が,協一郎の娘藍子,新聞記者の高安則久などとともに不思議な事件に巻き込まれていく。
最も印象に残ったのは,「一人」になった多聞が糸杉の家のMさん(インタビューで「この世の中には説明できないこと,説明しなくてもいいことがある」といっていた65歳の女性)と堀全部を「貸切」にして川下りをする場面。
読んでいるときの不思議さとともに,読後に考えさせられることも残り,なかなか楽しい一冊だった。
半分くらいしか読み切れてない(量ではありません)って気もちょっとするのだけれどね……(笑)
恩田陸の他作品についての日記は,フリーページ 読了本(日本) (恩田陸)からごらんください。
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