2007/06/05(火)01:33
背の眼(道尾秀介)
著者のデビュー作である,道尾秀介の「背の眼」(2005)を読んだ。
2003年1月に福島県の白峠村を訪れたホラー作家の道尾が,河原で聞こえた「レエ……オグロアラダ……」という不思議な声に怯えて東京に逃げ帰り,大学時代の友人真備庄介を巻き込んで,その地方で起こった,自殺者の背中に眼が現れる不思議と児童連続失踪事件に一応のケリがつくという話。
「霊現象探求所」を構えながら未だに本物の霊現象に出会ったことがないという真備の冷静な分析が,それを経たあとの霊現象にリアリティを与えていたし,真備の助手で彼の死んだ妻の7つ違いの妹であり,自分の能力を嫌い,使わないようにしている霊能力者(他人の考えていることがわかる)でもある北見凛も,なかなかよいキャラクターだった。
この事件を通して,真備は本物の霊現象に出会ったわけだし,彼が真に求めていた玲の霊を亮平少年が見たと道尾から知らされることになる(のだろう)。
道尾自身「声が聞こえる」という「霊能力」があるようなのだが,本人がそれに無自覚なのもおもしろい。
駅員などのマイナーな人物も含めて登場人物は魅力的だし,「不思議」なことの大部分はそれぞれ「現実的」な説明がついていくし,結果として「よくまとまっている」と感じさせる作品だったが,そのやや分インパクトに欠け,デビュー作であるにもかかわらず「老成」を感じさせられた。
「レエ……オグロアラダ……」の意味が最後まで説明されなかったのは残念!!
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