ハロルド・フライのまさかの旅立ち をWOWOWで観た 奇想天外なロードムービー
息子に自殺されてから、喧嘩がちとなり、25年間仮面夫婦だったハロルドとモーリーン。ある日、ハロルドは昔の同僚女性クイーニーがホスピスにいることを知り、何かをしなければという思いから、手紙を書いた。手紙を出す前に寄ったスーパーで「薬ではなく信じる心が大切だ。」と店員の女の子に言われ、800km離れた彼女のもとに歩き出す。私が行くまで生きていてくれ、とメッセージを送って。最初は「馬鹿げている、いつか帰ってくるわ。」と高を括っていたモーリーン。しかし、いつまで経っても帰ってこないハロルドを追って車で会いに行く。カフェで語り合う2人ハロルドが言う。私はこれまで何もせずに生きてきた。今ようやく何かしてるやり遂げたいんだモーリーンが答える自分の居場所が見つからないのあなたが巡礼の旅をしてるのは分かる私はあなたみたいに無私の心になれない一緒に歩かないかと誘うハロルドに、モーリーンは何も支度なしには無理、と断る。また、一人旅を続けるハロルド。もうホスピスは間近となったのに、突然不安な気持ちになりモーリーンに「君が正しかった。帰るよ。」と電話をする。しかし、モーリーンは意外な事実を告げる。「クイーニーは息子が亡くなったあと、町を去る前に会いに来てくれた。自分を責めないで、と伝えてくれと。私は、あなただけ慰めを得るのが赦せずにそれを伝えなかった。」また、歩き出すハロルド。そしてついにホスピスにたどり着き、クイーニーと対面する。しかし、クイーニーはすでに昏睡状態で言葉を交わすことはなかった。無力を感じたハロルド。迎えに来てくれたモーリーンに言う。私はバカだった。歩けば死に行く人を救えると。息子すら救えなかったのに。あなたは世界に飛び出した。ただひたすらに信じて。たどり着けるかもわからないのに歩き続けた。奇跡でしかないわ。愛してるわハロルド。それに気づかせてくれた。家に帰ろう、とつなぎ合う二人の手がアップになりfin,許しを請うことはできても、許されるとは限らない。モーリーンは息子の自殺を止められなかったハロルドを責めた。モーリーンに許してもらえないハロルドは、罪に問われたいと破壊行為に出たが、クイーニーに救われた。しかし、そのためにはクイーニーは町を追われた。それもハロルドの心の傷となった。ハロルドはモーリーンに許されることで、クイーニーにも許してもらえたと思うことができた。難しいのだ、許し許されることは。ハロルド・フライのまさかの旅立ち (講談社文庫) [ レイチェル・ジョイス ]