あれこれ備忘録 ホスピス医のこころを支えるもの

2023/04/17(月)09:31

ドラマ 定年退食をみた。藤子・F・不二雄の洞察力 国家が老人に死ねという社会とは

緩和ケア(159)

【中古】【全品3倍!4/18限定】藤子・F・不二雄[異色短編集](2)−気楽に殺ろうよ− / 藤子・F・不二雄 NHKBSPで毎週日曜日、夜15分放映される、藤子・F・不二雄のSF短編ドラマ。 藤子不二雄のSFはサイエンスフィクションではなく、すこし不思議な話、という意味。 『定年退食』は1973年にビックコミックオリジナルに掲載された作品。1995年小学館コロコロ文庫の異色短編集(2)に収録。私も本棚に納めてある。 老人に合法的に死を促す社会はこんな感じ?では、安楽死も容易されているのかな?と考えさせられる作品。 近未来、食糧危機に陥った日本は食糧を配給制にした。現在の法律では76歳以上の老人達は国家の保障がなくなる76歳定年制が導入されている。 主人公のおじいさん、75歳で来年以降は配給がなくなるため、今日の糧を保存している毎日。 時々、特別定年延長の抽選があり、なんとか当たらないかと願っているが、今回も外れてしまう。 しかし、ある日、総理大臣から重大発表が。 明日より定年を72歳に引き下げる。今日で73歳以上の方の年金、食糧、医療などの国家の保障を打ちきる、と。 おじいさん、翌朝、息子夫婦が自分達の分を削って、朝御飯を出してくれる。しかし要らぬと手を振り表に出て、出会った友人と2人、街をさまよう。 2人でベンチに座っていると、友人の孫が彼女とすわる場所を探している。「おじいちゃん、譲ってよ。」怒る友人。「年寄りに席を譲れだと!」 怒る友人を諫めて立ち上がり、2人またあてもなく彷徨いだす。 「もう。わしらの席はどこにもないのさ。」 一日中、街を彷徨ったのか、夕陽に向かって階段を登っていく2人。 死を暗示するようなラストにすこし震える。 50年前に書かれた作品とは思えない。 今の社会では、数年後に現実になってもおかしくないような作品。 是非原作を読み、ドラマをみてください。

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