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あれこれ備忘録 ホスピス医のこころを支えるもの

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粗忽のたかびー

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2024.07.01
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カテゴリ:緩和ケア


安楽死が合法の国で起こっていること (ちくま新書 1759) [ 児玉 真美 ]


我々医療者にとって安楽死問題は、今すぐ国会で論じてほしい、法制化してほしいことの一つてある。
問題点を調べるためには児玉真美さんの本が良い。

ホスピスでは死にたいと言う人が多い。しかしそれは死にたいほど辛い、ということであって、実際に死にたいとは思っていないことがある。でも、実際に多くの人が病気を苦に自殺している

日本では昨年2万人強の方が自殺しており、理由が特定された人の19000人のうち6割は健康問題で死を選択している。

さて今回、このドキュメンタリーで取り上げた方、1人目は63歳女性、良子さん、パーキンソン病。2021年3月に取材開始。英語が堪能で自らスイスに渡り、ライフサークルによる自殺幇助をうけようとしていた。しかし、ある日を境に取材拒否。2023年1月に番組プロデューサー宛に手紙が届く。

良子さんから手紙を託されたライフサークルのスタッフが送ってくれたことか判明、番組はライフサークルを取材した。すでに新規申込みの受付は終了しているとこと。そこで働く医師は緩和ケア医師でもあり、父が自殺幇助を希望、それに立ち会ったとのこと。

スイスで一番大きな団体は「EXIT」。そこで取材に応じたのはフランソワーズさん、88歳女性、大腸がんによる多発転移。好きな音楽が流れるなか、夫、子供、孫に見守られ、自らクレンメ(点滴のルートを開閉するもの)をひねり薬液を注入開始、カメラの目の前で旅立つ。

2023年11月、夫、18歳、12歳の娘2人と生活するマユミさん44歳の取材開始。子宮頸部原発の神経内分泌がん。彼女もライフサークルに手紙を送りすでに受け入れられていた。間もなく娘2人を残し夫と2人スイスに向かった。カメラの前で娘たちとの記憶を振り返り、メッセージを残すマユミさん。最期の晩餐はお寿司。最期の日、娘たちとはビデオ電話でつながることにした。娘たちと話を始めて1時間、「この音楽を聴き終わったらベッドに行こうかな。」
あなたは本当に死を望んでいますか、点滴を開けたらどうなるかわかっていますか、と尋ねる医師に「分かっています、I will die.」と答え、クレンメを開けるマユミさん。そして旅立った。一ヶ月後の12/9にお別れ会を開いた。そして4月、二人の娘、姉は大学へ、妹は中学へ進学した。

京都で2人の医師に安楽死をさせられたALSの女性、林さん。そのヘルパーさんが取材に応じていた。2人の医師の1人、大久保被告の裁判を傍聴していた。林さんが遺言書を書いていたことを知っても「生きていてほしいと思う。2人さえいなけれはまだ彼女は生きていた。」と話した。

ALS嘱託殺人事件に向けた記者会見も取材ができた。参加したあるALS患者は「この殺人事件を機に安楽死が法制化されればALS患者はいなくなるだろう。」とコメントした。
ナレーションは「生きていてほしいという国にして欲しい。」とまとめた。

スイスに渡りながら思い留まったくらんけさんが取材に応じた。「大久保被告は林さんの魂を救ったと思う。」と話す。

大久保被告の判決文、「自己決定権・幸福追求権・個人の尊厳はいずれも個人が生存していることが前提で、たとえ恐怖や苦痛に直面している状況であったとしても、自らの命を絶つために他者の援助を求める権利、などが導き出されるものではない」

COPDで苦しんでいた矢島さん、ライフサークルから自殺幇助の許可を取得した、という連絡を得た。しかし、体調はなぜか良くなっていた。「安楽死のおかげで恐れずに靭性に積極的になれるんだ。新しい治療を試すことにした。両親のためにも恋人のためにも生きてみたい!」と話した。

私の見解
判決文の中に自己決定権という言葉が出てくる。それは生存が前提であると。
死を選ぶことも自己決定権であろう。死ぬ瞬間までは生きているのだから、自らの命を絶つために他者の援助を求める権利を認めないのは、矛盾しているように思える。
自殺は認めるが自殺幇助を受けて死ぬことは法律として認めない、ということは、自殺できない人の自殺する権利を奪っていることにはならないか?







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Last updated  2024.07.04 06:00:42
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