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夢追人~Doremarz~

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もしもボックス

もしもボックスは“一種の実験室”だという(*1)。概観は昔の電話ボックスのようで古めかしいが、受話器に向かって「もしも○○なことがあったら…」と話すと、願いどおりの世界になる。

(*1・コミックス11巻『もしもボックス』)

◆パラレルワールド

大長編『のび太の魔界大冒険』におけるドラえもん、のび太、ドラミの会話によって、もしもボックスとパラレルワールドの関連性が示された。

のび太「ぼくらはもとの世界にもどれるけど…、魔法世界のほうはどうなるの?」
ドラミ「パラレルワールドになるわけよ。」
ドラえもん「つまりね、あっちはあっちで、こっちと関係ない世界としてつづいていくわけ。」

だが、パラレルワールド説には、いくつかの疑問が浮かんでくる。

もしもボックス使用時におけるドラえもんの存在は不明瞭である。のび太が、もしもボックス内で受話器に向かって希望を話しているとき、ドラえもんはボックスの外にいる。にも関わらず、彼もパラレルワールドに移行しているのだ。なぜか?

もしもボックスは、ボックス内だけでなくその半径数メートルの範囲にまで影響を及ぼし、ボックスが使用されたことを認識している者(ドラえもん)の意志を読み取って、パラレルワールドに移行させるものと思われる。


魔法世界のドラえもんとのび太はどうなるのか。

科学文明世界のドラえもんとのび太の身体をそのまま転送するのではなく、彼らの意識だけを魔法世界に存在するドラえもんとのび太のもとに転送している可能性が考えられる。タマシイム・マシン(一種のタイムマシン。魂だけが抜け出して昔の自分の体に移れる)のようなことを、もしもボックスでも行っているのだろう。


ドラえもんとのび太が魔法世界に移行している間、元の世界の時間は彼らが不在のまま経過していくのだろうか。

パラレルワールドから元の世界へ帰ってくる際、のび太たちがパラレルワールドに転送された直後に戻るのであればクリアできる。


とりよせバッグで地球ののび太の部屋から勉強机を取り寄せ、タイムマシンでもしもボックスを使う前の時間に戻ったドラえもんとのび太。しかし、大魔王の命令を受けたメジューサが彼らの後を追って来る。切羽詰まったのび太は、ホウキに乗り空を飛んで逃げようとするも、メジューサに追いつかれて石に変えられてしまう。ここでの疑問は、なぜ元の世界に戻ったのび太が魔法を使えたのか? という点である。

元の世界に戻ってきたのび太が、魔法の力を行使できる能力を有していたからだと推測される。魔法世界に住む人間には、そうした能力が潜在的に組み込まれているのだろう。だから、科学文明世界では発動しなかったのび太の魔法が、魔法世界に移行(意識の転送)してからは発動するようになったのだ。そして、のび太は魔法を発動できる状態で元の世界に戻った、というわけである。

◆まとめ

ところで、のび太がもしもボックスを使用した場合、結局は悲惨な状況に陥って自分から(もしくはドラえもんが)元の世界に戻すという結末を迎えることが多い。もっとも、設定した世界におけるのび太の行動は、身勝手なうえ横暴なので仕方がないと言えなくもないが、少し教訓めいている。そのような機能が組み込まれているのだろうか?

これは、料金によって世界の「質」が決まっている可能性が考えられる。つまり、もしもボックス購入時、あるいはレンタル時に料金コースの選択があり、低料金であれば時間も短く結末も強引、高料金であればそれだけその世界にいられる時間も長く、終わり方もスムーズなのである。のび太が毎度の如くひどい目に遭うのは、ドラえもんが購入時(レンタル時)に格安のコースを選んでいたからだろう。

しかし、魔法世界では時間的にも長く、それなりに満足できる結末を迎えたのは、一時的に高い料金を払ったためと推察される。魔法について夢想していたのび太を哀れに思ったセワシが、のび太のために支払ったのではなかろうか。


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