|
カテゴリ:二つの文化の狭間に生きて……
こちらにいると時々、日本との制度の違いから 日本人にとってとても興味深いニュースの報道されることがあります。 そんな中で私の記憶に特に鮮明に残っているもの二つ……。
一つ目……。 いつのニュースかは忘れたのですが、宗教の違いが生んだ悲劇です。 一夫多妻の認められている宗教……。 一世としてイギリスに来た親世代はあくまで自分達の固有の習慣に固着するし、 一方、イギリスで新しい教育を受けた子供世代は 西洋風の習慣に従い、自分の人生の舵を取ろうと……。 そんなギャップの中でオックスフォードで起きた殺人事件でした。 殺されたのは若い大学生カップルの男性の方……。 女性は親からはるかに年上の男性との結婚を強要されていたらしい、 とニュースは伝えていました。 もともとの国は異なるものの、同じ宗教。 でも、場所が示すように非常に優秀だった若い2人 恋に落ち、女性が身ごもり (でも彼らの宗教では結婚前の交渉はタブーらしいです……) で、侮辱されたと、女性の父親、兄弟が男性を刺殺しました。 家族により階段から突き落とされた女性は流産……。 自分自身の家の名誉のための殺人だ、 と主張した彼らでしたが、有罪の判決が下りました。
二番目はイギリス人の犯罪……。 lady in the lake(湖底の美女)として、かなり世間の耳目をにぎわした事件だそうです。 2005年2月友人達に送ったメールに残っていますので、もう二年以上も前…… でも実際の事件はなんと、延々30年に及ぶものなのです。 で、ざっと……。 殺人が起きたのではないか、と言われるのが今からざっと30年前……。 ある女性が失踪して行方不明に……。 当初から旦那様にあたる男性が疑われ、何度か取り調べも受けたらしいのですが 決定的な証拠がなく、当の女性もいったいどうなっているのか分からず 迷宮入りのまま……。 ところが今から10年ほど前、湖水地方のさる湖からふとした偶然で アマチュアダイバーにより湖底に沈められている女性の死体が発見されます。 で、この時点より先のlady in the lakeでこの事件が呼ばれるようになったわけです。 女性が殺された事の確定したこの時点より捜査が再開され、 さらに約十年後、2005年に男性の有罪が確定し、終身刑が言い渡されたわけです。 なぜにそれから更に10年も要したかは、不明なのですが この30年間に男性は更に二度の結婚をし、三番目にあたる現在の妻は 男性の無罪を確信していたにもかかわらず、状況の厳しさに泣き崩れ……。 その男性と殺された女性の間の子供は無表情……。 とニュースは報じていました。
現在イギリスには時効がないので、 30年前の殺人事件であろうと、裁きの対象となります。 お邪魔虫に 「日本だったら、時効が成立して男性はもう罪に問われないかも…… 15年経っていれば……」 と言うと 「その15年の根拠は?なぜ15年で許されるの?」 の質問に 「そんなの知らんわ。また理屈っぽいことを……」 と答えて、自分でも 『なぜ、15年なんだろう?』 とあらためて疑問が……。
日本にいればそれがもう常識みたいになっているので、 みんな常識でさっと流れてしまうのに、 こちらにいるためにいちいち疑問を投げかけられて 結果,自分も悩むことに……。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[二つの文化の狭間に生きて……] カテゴリの最新記事
|